オークションのいろは
COLUMN
リユース経済新聞2026年6月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』
第142回 若手にまず教えたい、市場を知ることの大切さ
2026.6.25最近はネット古物市場だけで売買を回している若手バイヤーも増えましたね。効率だけを考えれば、それも自然な流れです。事前に出品情報が見られて、移動もいらない。相場の目星もつけやすい。オンライン古物市場の進化は、この10年でずいぶん大きかったと感じます。ただ、その便利さに慣れすぎると、見えなくなるものもあります。今回は、若手スタッフにどんな経験を積ませるとよいか、現場で感じていることをまとめてみたいと思います。自社で若手を育てる際の、一助になれば幸いです。
デジタル全盛期こそ問われる現場力 現物と現場で磨く
まず、入るべき古物市場の見極めです。オンラインか、オフラインか。紹介が必要なのか。売り買い双方の手数料はいくらか。カテゴリごとに手数料を変えている市場もありますから、その市場が何を強みにしているのかも見えてきます。加えて、落札品の交渉期間や送料、真贋不明品への対応、保証内容。このあたりは、若手にも最初に教えておきたいところですね。
最初の入り口としては、値段の流れが見えるビッド式のオンライン市場が入りやすいでしょう。競り上がりを見ながら判断できるので、安心感があります。一方で、より実践的に学ばせるなら、やはりリアル会場の手競りも経験させた方がよいと思います。時間も手間もかかりますが、現場にはネットだけでは分からない情報が詰まっています。
特に大きいのは、実地下見です。現物を手にすると、同じ型番でも値段が違う理由が見えてきます。保証書の日付なのか、年式なのか、仕上げ歴なのか、ブレスの延びなのか。写真では分からない情報が、目で見て触ることで一気につながるんですね。そのうえで、物量に触れてもらうこと。遠回りに見えて、結局いちばんの近道ではないでしょうか。
それと、会場では人も見えます。どんな参加者が多いのか、誰がどのカテゴリを強く買っているのか。休憩時間の立ち話一つでも、売れ筋や競合の気配が伝わってきます。会の担当者に話を聞くのもいい。ネット市場しか知らないと、この「現場の情報」が入ってきません。若手にそこを見せておくだけでも、その後の相場の読み方は変わってくると思います。
では、もし今の時代に自分が新人なら何を学ぶか。答えはシンプルで、オンライン下見は徹底的に活用しつつ、最後は現物と現場で確かめる力を磨く、です。便利な道具は増えましたが、安くて良い物を買っていく基本は変わりません。数字を追う力と、現物を見る力。この両方を持ったバイヤーが、結局のところこれからも強いでしょう。
若手を育てるときは、まずは市場を知ってもらうことから。その経験をどれだけ早く積ませられるかが、後々効いてくるのではないでしょうか。
