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COLUMN

リユース経済新聞2026年2月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第138回 保証書だけに頼らない──最近の真贋不明品事情

2026.2.25

ここ一年で、真贋不明品の質と量が変わってきましたね。地金相場や株価の上昇、そして円安で高額商材の動きが活発化する中、相場が活況だと、良い物だけでなく“真贋不明品”も市場に出回りやすくなります。警鐘も兼ねて、最近気になった真贋不明品のトピックを取り上げたいと思います。

まずジュエリーです。某ハイジュエリーブランドの商品では、メーカー修理明細が付属しているにも関わらず、基準外品であるパターンがあるようです(メーカー側は「シリアル番号だけで判別しているのでは」ともいわれるくらい)。保証書も日付が空欄になっているものの本物ではあるようで、保証書付き=安全とはいえません。
また、高額な海外修理明細が付くパターンは十中八九NGで、買取に持ち込まれた場合には特に注意を払う必要があります。

時計も油断禁物です。近年はロレックスのオイスターフレックス系(ヨットマスター、デイトナなど)まで真贋不明品が見られるようになりました。ラバーや金具の精度が上がり、写真だけでは判定が難しい個体もあります。
また、タグ・ホイヤーやオメガ、グッチ、カルティエなどの20~30年前のモデルを模した真贋不明品を再び見かけるようになったのも最近の特徴です。見る人が見ればすぐに看破できるのですが、若いバイヤーは当時の真正品を触った経験が少なく、多少つくりが粗くても、「当時品はそんなものかな」と誤解して通してしまうことがあるそう。ここは世代間で、真正品に触れる機会を意識的につくりたいところですね。

ただ、いずれも基本的な検品ポイントを押さえてチェックすれば、見抜けないほど精巧な品物ではないように思います。例えば、ジュエリーはメレのクラリティが、ハイブランドで採用されるVSクラス相当か(基準外品はSIクラス以下であることが多いため)、石留めの整い方や、金性・ロゴ刻印の掘りにバリや歪みがないか。時計は針のヘソやエッジの処理、文字盤レターの滲みや太り、夜光の粒立ち、生産年代と各パーツ仕様の整合性が合っているか。保証書などの付属品有無だけに捉われず、今一度「現品の完成度」で判断するのが安心ですね。

それでも迷う個体はあります。そんなときは抱え込まず、外部に頼るのもありです。私どもは一般社団法人 日本流通自主管理協会(AACD)に加盟しており、加盟社は真贋不明品の判別を依頼することができます。同様の鑑定・照会ルートを持つ団体や取引先があるなら、そうしたネットワークを活用することもおすすめです。真贋の精度は、個人の目だけでなく、組織としての仕組みで底上げしていくことも大切だと思います。

最後に。保証書も修理明細も「参考資料」と捉えて、主役はあくまでも目の前にある「現物」です。保証書や修理明細=安心の思い込みを外して、真正品に触れる機会を増やす。地道な積み重ねが、仕入れの安全度を確実に上げてくれますから、相場が上昇基調の今だからこそ、浮足立てずに取り組んでいきたいですね。

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