オークションのいろは
COLUMN
リユース経済新聞2025年11月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』
第135回 為替・地金高騰と”解体”される時計
2025.11.25トランプ関税の発動から、あっという間の半年でしたね。春先はアメリカ市場を避けるために輸出先を見直す動きから、一時は相場も下げ基調となりましたが、国内相場は比較的早く落ち着きを取り戻しました。いまの相場の輪郭を振り返りながら、現況を整理してみましょう。
合理化進む国内市場 裁判の行方と関税特需に注目
国内外の古物市場の動きとしては、引き続きアメリカ向けを避ける流れが強く、商材も人も香港へ集まっています。11月の香港の時計ショーは、アメリカ系バイヤーがやや減る一方、ヨーロッパ系バイヤーが増えて賑わいはあったそうです。
ドル円為替は150円台半ばの円安が続き、時計相場の下支えになっています。ロレックスのレディース・デイトジャスト(Ref.179〜/69〜)は堅調。メンズのRef.16233も100万円超が当たり前になり、国内小売の相場も一段と上がった印象です。一昔前を知っていると、一般消費者にはなかなか手が出しづらい相場になりましたね。必然、香港をはじめとする海外市場へ国内在庫を振り向けるのも当然の流れでしょうか。
高騰が続く金相場の影響も大きいですね。無垢モデルの定価上昇に加え、中古市場では“商品としての価値”より“地金としての価値”を先に見る場面が増えました。ロレックスRef.69178などはブレスレットのヨレが軽微でも、ツブシを念頭に置いた判断が入ります。カルティエ、ロジェ・デュブイ、フランク・ミュラーなど、小売でさばきづらい無垢や一部コンビモデルは、その傾向がやや強めですね。
この影響は、古物市場の出品にも表れています。国内市場では頭(時計本体)のみが増え、私どもが運営するRKオークションでは「機械(文字盤+ムーブメント)のみ」の出品も見られます。ブレスやケースは地金へ、ムーブメントは部品取りへ――という最適化です。会場で小型の秤を持ち歩くバイヤーもいるようで、、、。この流れが続けば、古物市場で無垢の完品時計は相対的に数が細るかもしれません。
年末から年明けにかけて、為替と金のトレンドが今のままなら、当面は安定して高い相場水準が続きそう。
年末から2026年にかけて注目したいトピックスとしては、トランプ関税の裁判の行方でしょうか。米最高裁でもしも「違憲」とみなされ撤廃されるようなことになればアメリカ市場の取引が再活性化するでしょうから、裁判の行方に注目です。
また、国内では来年11月、免税方式が現在の店舗型免税方式からリファンド方式へ変更となりますね。旅行者にとっては購入店舗で完結する現在のシンプルな方式から、他の国と同じように税関手続きが必要になり、やや煩雑になることで消費への影響が懸念されそう。今後1年間は特需があるかもしれませんが、11月以降の消費がどうなるか。いまから備えておく必要がありそうです。
