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オークションのいろは

COLUMN

リユース経済新聞2025年3月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第127回 オークション下見、押さえておきたいポイント(宝石・ジュエリー編)

2025.3.25

宝石の仕入れでは、見た目の美しさだけでなく、地金の状態や付属品の有無が価格に大きく影響します。特に、下見の段階で細かい部分を見逃してしまうと、思わぬ損失につながることもあります。古物市場の下見における、基本的なチェックポイントを整理しました。

実力が試される宝石検品、慎重な見極めを

まず、刻印の確認は基本中の基本ですね。金性の刻印には「K18」など以外に、「18K」のように数字のあとにアルファベットがつく、いわゆる「アトK」があります。これだけで価値が下がる可能性があります。ブランドジュエリーの場合、ブランドロゴの刻印が消えていると、たとえ本物であってもノンブランド扱いになってしまうため注意が必要です。

ブランドジュエリーについては、加工の有無を確認することも重要です。元はネックレスだったものがピアスに加工されていたりすることがあります。見分け方のひとつとして、ここでも刻印をチェック。例えば、ヨーロッパ系ブランドは一般的に金性表記が1000分率で「750」などと記載されますが、24分率で「K18」などと記載されていればアウト。加工品は、店に並べない小売り店も多いので、誤って買ってしまわないようにしたいところ。また、ブランドジュエリーのダイヤは通常カーボンを含まないため、ダイヤの品質も必ずチェックしたいですね。

ノンブランドジュエリーの下見では、宝石の種類が出品リストに明記されていないこともめずらしくありません。出品リストに記載がない場合、宝石の種類や状態は、買い手がしっかりと見極める必要があります。落札後に、想定と違う宝石だったことが発覚した場合でも、後交渉は難しいでしょう。ソーティング(鑑定結果の簡易的なメモ)の内容確認も欠かせません。ソーティングに品物のマイナスポイントが記載されていることもあり、売り手が意図的に出品リストに記載しないケースもあるためです。実物を手に取って見られる実地下見では、必ず確認しましょう。また、石目が大きくても価値が低い石の場合、見た目で、その分の目方を差し引いた値段をつけなければなりません。このあたりは、定価のないノンブランドならではの難しさでもあり、面白さでもありますね。

ダイヤモンドにおいては、見た目はきれいでも、黄色味や茶色味(ブラウニッシュ)が強いと評価が下がることがあります。LDH(レーザードリルホール)の有無も見落とせないポイント。一見しただけでは気づきにくく、後交渉の対象にもならないため、特に注意して確認したいところです。また、メレダイヤ(小粒ダイヤ)は”噓”をつくことがあるので、こちらも要注意。刻印記載の目方が、実際とは異なることもあるため、慎重に測定するプロもいます。ちなみに、0.3ct以下のダイヤは鑑定書の有無が価格にさほど大きな影響を与えないため、下見の際に自分でグレーディングを行うのが一般的ですね。

このように宝石の仕入れでは、細かなチェックが利益を左右します。刻印や品質の確認はもちろん、出品リストに記載されていない情報を自分で見極める力が求められます。経験を積みながら、慎重な下見を心掛けたいところですね。

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