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COLUMN

リユース経済新聞2025年1月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第125回 2025年、古物市場の風向きは??

2025.1.25

2025年の最初かつ最大ともいえるトピックとして、トランプ大統領の就任が挙げられます。本コラム執筆時点(1月上旬)でも数々の発言で物議を醸しているトランプ氏だけに、政治、経済、国際情勢すべての面で波乱を呼び起こす可能性が高そうです。その影響が古物市場にどのように波及するのか、今後の動向に注視していきたいところです。

出足は好調、米政権の動向も注視

とはいえ、昨年末から今年の年始にかけての国内ブランド古物市況は好調でした。注目すべきは、円安が160円に迫る勢いで進行したことに加え、ロレックスの定価改定が追い風となり、時計相場が上昇した点です。金相場の高騰も背景に、定価ベースで100万円以上の値上げとなった金無垢系モデルは、特に高い相場感で取引されています。

海外市場は、国内市場ほどの勢いは感じられません。例えば香港では、日本国内の相場が高すぎる点がネックで、国内から持ち込んだ商材の価格が折り合わないケースが見られるようです。しかし、ショーの商況やメインストリートの往来を見ていると、香港や北米系のバイヤーは相変わらず健在で、最近ではフィリピンやドバイ系のバイヤーが勢いを増しているのが目立ちます。一方で、ユーロ安の影響もあり、ヨーロッパ系のバイヤーはやや元気がない印象です。
なお海外に限ったことではありませんが、昨夏頃から国内外とも市場は上向きつつあるものの、世界的に超高額系商材は動きにくいフェーズに入っているようです。

商材のトレンドにも変化が見られます。これまで中国系バイヤーに売れていたB~Cランク品に相当するダメージの多い商材は、動きが鈍くなっています。中国市場の成熟化に伴い、コンディションの良い品物へニーズがシフトしているようです。

また、ロレックスのデイトジャスト ボーイズモデルの人気が高まっており、68273などの流通量が少ないモデルは特に注目されていて、レディースモデルよりも存在感のあるサイズが女性にも好評です。最近は日本国内でも、現行デイトジャスト(41mm)を女性タレントが着用しており、トレンドは広がりを見せています。

昨年から今年にかけては、いくつかの懸念もあります。昨年末から、国内ではカルティエ バロンブルーの精巧な偽造品が流通しており、保証書付きのものが全国の古物市場で確認されています。買取業者にとっては大きなリスクであり、引き続き注意が必要です。特に慌ただしくなりやすい年度末にかけては、モノだけではなく、人の真贋、見極めも意識していきたいですね。

転売目的が疑われる免税品についても、誤って買取しないよう引き続き注意が求められます。インバウンドが過去最高を更新した昨年に続き、今年も多くの外国人が来日するでしょう。日本の免税方式がリファンド方式に見直される来年以降はリスクが軽減されそうですが、それまでは引き続き慎重に対応していきましょう。

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