オークションのいろは
COLUMN
リユース経済新聞2024年9月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』
第121回 令和の夏、試練の市場動向
2024.9.25この夏はブランド古物市場にとっては厳しい一か月となりましたね。前回のコラムでも触れましたが、日経平均株価の下落や円高への転換が続き、さらに気候や地震といった外部要因も相まって、厳しい状況が続いています。卸売りだけでなく、小売り市場でも売れ行きが伸び悩んでいるようで、業界のあちこちで苦戦の声を耳にしました。
そのため、当社が主催するオークションでも、出品数は減少しました。たとえば、ロレックスのような為替の影響を受けやすいブランドはもとより、パテックフィリップやオーデマピゲといった高額ブランドも含め、相場が不安定です。実際、8月中旬に行った当社主催RKオークションでは、前月に比べて落札率が落ち込みました。売り手の方々も慎重になり、不落の商品が多く見られましたね。特にロレックスの6桁スポーツモデルは、5~10%ほど相場が下落しています。
全体に低調ムードも、秋の新オク開催に期待感
ジュエリー市場では、ダイヤモンドがやはり厳しいですね。もともとくすぶっていた供給過剰と需要低迷に今回の外部要因が折り重なり、追い打ちをかけています。ただ、ラボグロウンダイヤモンドが安くなる一方で、天然ダイヤモンドへの関心が再び高まりつつあるようです。この流れは、少し希望が持てる兆しといえるでしょうか。
一方で、バッグ市場は少し異なった動きを見せています。エルメスの高額商材には相場下落の影響が出ていますが、ルイヴィトンやシャネルの現行品に関しては堅調な売れ行きが続いています。特にシャネルのヴィンテージ品は人気が高く、例年の夏場に見られる革製品の相場下落もあまり感じられない状況ですね。
このようにカテゴリによって濃淡はあるものの、時計やジュエリーといった商品については、今しばらくは為替相場や海外情勢に注視しながら、市場の動向をしっかり見極めていきたいところです。
ただ、ネガティブな要素ばかりではありません。
今後の市場に期待できるトピックとして、9月には香港、10月には東京で新たなブランド古物オークションがスタートするとの情報があります。新規オークションが開催される際には、主催者側も力を入れて出品を募るため、品数や品質が担保されやすく、落札価格もご祝儀相場で上振れする可能性がありますね。
相場状況は依然として厳しいものの、こうした新たなオークションの開催を控えていることもあり、少しずつ改善の兆しが見えてくるかもしれません。業界全体の動向を引き続き注視しながら、今後の展開に備えていきましょう。
ちなみに、これらのオークションはいま主流の非対面の入札方式で行われる予定ですが、最近では対面で行う手競りオークションも少しずつ人気が戻ってきているようです。リアルタイムで競りが行われる手競り形式では、競り上がりの経過や中値、参加企業の情報など、ライブ感を通じて得られる情報が豊富です。その場の盛り上がり次第では相場が上振れするリスクもあるものの、リアルタイムで行う対面の手競り形式ならではの魅力を感じる買い手から支持を得ているようですね。