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COLUMN

リユース経済新聞2024年8月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第120回 令和のブラックマンデーに見るブランド古物市況

2024.8.25

「令和のブラックマンデー」とも呼ばれる8月5日の日経平均株価の暴落は、ブランド古物業界にも大きな影響を与えていますね。日銀の介入をきっかけに円高に転じた為替変動や米景気後退への警戒、イランとイスラエル間での緊張が高まったことなど、さまざまな要因が悪い方にかみ合って引き起こされてしまいました。

為替や株価に加えて地金相場も下がっており、前述のように米景気や地政学リスクに対する懸念もあるためか、香港ドルベースでも相場が下がっている状況です。著名なアナリストでも、ここまでの暴落を予測できていた人は少なかったのではないでしょうか。

時計バッグの好調に冷や水も、焦らず冷静な対応を

相場の風向きを示すロレックスでは早々に動きがあり、6桁型番のスポーツモデルは5%~10%程度値を下げました。特に今年の新作、グレー&ブラックベゼルのGMTマスター2(Ref.126710GRNR)は特に煽りを受けているようです。直近の7月までは、ロレックスに限らず、円安を追い風に相場は好調でした。当社が主催するRKオークションでも、時計大会での落札率は93%以上を記録し、相場も参加者の買い気も上り調子でしたが、今回で冷や水を浴びせられた格好です。

直近の市場動向を見ていると、相場下落を受けて、引きになる商品が多い印象です。また、各社とも市場への出品を控え、様子見に回る傾向も見られます。市場出品量が減少することが予想されますが、現状の為替状況を踏まえた相場とは折り合わず、不落札となるケースが増える可能性が高いでしょう。

時計だけでなく、高額系バッグへの入札数や価格にも影響が見られています。本来、時計ほど外部情勢の影響を強く受けることはありませんが、前述の市場状況が、他のカテゴリにも波及しているようです。時期的にも、あまり良くないタイミングと重なりました。8月は香港やオーストラリアなどの海外市場がサマーバケーションで動きが鈍くなりやすく、もともと相場が停滞しやすい時期だからです。

ここまでマイナスなことばかりを書き連ねましたが、確かに下降トレンドに転じてはいるものの、本コラム執筆時点の8月第三週時点では持ち直してきている兆しが見えます。株価の乱高下が続いており、まだまだ予断を許さない状況ですが、現時点ではそこまで悲観的になる必要はないと思われます。
ドル円相場も7月から10円以上円高に振れたとはいえ、依然としてドルが強い状況が続いていて、足元のインバウンド需要にもまだ陰りは見られません。今は無理に売りに走るのではなく、国内と海外の市況を注視しながら、冷静な対応を心がけることが望ましいでしょう。

ただ、今後も相場以外の海外情勢にも注意が必要です。中東地域の地政学リスクはもちろんですが、秋の大統領選挙にも注目です。トランプ前大統領が再選されるか、ハリス氏が当選するかによって、為替状況は大きく変わる可能性があります。ハリス氏が当選した場合、現状の円安が続くのではないかとも思われますが、果たしてどうなるでしょうか…。

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