オークションのいろは
COLUMN
リユース経済新聞2024年7月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』
第119回 円安背景に好調さ保つ国内相場、海外は
2024.7.25一昨年の春頃から始まった円安ドル高は、7月頭には1ドル=161円台をつけるまでとなりました。実に38年ぶりという円安水準をうけて、4月以来となる日銀の為替介入が行われるのではとも噂されますが、依然続く為替トレンドを背景に、国内のブランド古物相場は上昇しています。
円安=海外ブランド古物相場が上がる、という流れは周知のとおりかと思います。特に投機的な値動きも見られる時計は、人件費や金に代表される世界的な物価高騰も手伝って値上がりが顕著です。また、インバウンドの復調が目覚ましい今、海外市場向けの品物に人気が集中し、相場が局所的に高くなっています。代表的な商品でいえばロレックス Ref.16233などが該当し、香港市場の価格とさほど変わらない、高い相場が続いています。
海外は停滞気味、為替変動を見据え広い視野を
余談ですが、東京都心部が注目されがちですが、大阪の心斎橋エリアのブランド古物店界隈はいま大変賑わっているようです。関西空港からのアクセスに優れ、観光とショッピングが一度に楽しめるため外国人の人気を博しているそうです。同様の理由で、福岡も人気スポットだそう。
このようにインバウンドの影響もあり、冒頭に述べたとおり国内のブランド古物相場は上昇傾向にあります。一方で海外市場はどうかというと、そこまで大きな相場上昇とはなっていません。2021年頃からアジア市場が弱含みとなっている影響もあるでしょう。日本国内だけに目を向けると活況を呈していますが、市場規模が圧倒的に大きい海外市場では、むしろ昨年から今年にかけて多少減速がみられる向きもあります。
基本的には市場の大きい海外ベースで相場が形成されていくため、ここ2~3か月の国内相場の上昇は、モノ自体の需給によるというよりも、やはり円安進行によるところが大きいでしょう。
時々、ドル円相場の変動が国内外の市場にどんな影響を及ぼすかと聞かれることがありますが、一気に円高に振れた際は国内相場へ影響はあれ、経済情勢そのものによほどのインパクトがないかぎり、海外相場へ与える影響は軽微でしょう。いまに始まったことではありませんが、かつての並行輸入のようにヨーロッパで購入して日本で販売する価格差で商売する時代ではなくなりつつありことを実感します。
円安ドル高の影響を受けて日本国内のブランド古物相場は上昇を続けていますが、為替に依存する面が大きいため、近視眼的にならず、海外市場の相場はどうか?といった目線も常に持っていると良いと思います。