オークションのいろは
COLUMN
リユース経済新聞2024年4月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』
第116回 新作時計やダイヤ相場、好況の追い風に
2024.4.25毎年、新作時計の発表で話題が持ちきりになる4月。発表日が近づくにつれて界隈では予想合戦が盛んになりますが、皆さん的中しましたか。特に注目されるロレックスは、昨年から(GMTマスターがディスコン(廃盤)になるのでは?)との噂を耳にすることが多かったです。年末年始頃から店頭ではGMTマスターに関する問い合わせや販売が増えたりしたそうですが、実際にはディスコンとはならず、大方の予想を外した格好となりました。相場もジワジワと上がり気味だったのですが、今後は少し下がるかもしれませんね。
一方で、ヨットマスター2がディスコンとなりました。他のスポーツモデルに比べると相場が大きく動くモデルではありませんでしたが、今回の発表を機にどうなるでしょうか。本稿執筆時点では発表直後かつ大きなサプライズはなかったので古物市場の値動きはさほど見られません。ここ数年の傾向では早ければ6月頃から新作が流通し始めるため、GW以降、夏にかけての相場に注目です。
ロレックスのディスコンは予想外、今後の相場に注目
好調な外部情勢を受けて、相場の展望は今のところ明るいでしょう。153円/ドルをつけた為替や金相場の高騰を背景に、全体的に相場が良くなっている上、インバウンドも、過去最高を記録した2019年を上回ると予測されています。
時計はもちろん、ダイヤモンドの相場も好調です。昨年11月に小欄では合成ダイヤ(ラボグロウンダイヤ)が天然ダイヤ市場にも影響を及ぼすのでは、と触れましたが、現在の市場を見るに影響は限定的といえそうです。国内では天然ダイヤの価値を尊重する向きも根強いほか、前述の市況や世界的な株高などを背景に、高級宝飾品の需要が伸びていることからダイヤ相場は上向いているためです。余談ですが、ラボグロウンダイヤはGIA社などが提供する高度な鑑定機器なら違いを判別しますが、安価なテスターだと天然との見分けがつかないようなので、その点は現場においては引き続き注意が必要です。
このように、ブランド古物に関するトピックは概ねポジティブですが、国内ではトケマッチに関する対応が尾を引いているところも。先にいっておくと、懸念されていた相場への影響はあまり感じられません。事件発覚当初は、全容が不明だったこともあり、市況への影響を危惧する声も多々聞かれました。事件の内容がだんだんと明るみになり、被害の詳細が各古物関連業者にも共有され、各社早々に対応を進めたこともあって、国内相場に大きく影を落とすまでには至りませんでした。
トケマッチに限りませんが、買取査定や古物市場の検品現場では、盗難品などの情報と照らし合わせて、万が一該当した際には出品者へ連絡するといった水際対策を徹底しているためです。とはいえ、そうした対応は引き続き発生していますから、古物現場への負荷は増しています。少々まとまりのないお話になってしまいましたが、相場への影響云々に関わらず、この事件が少しでも前進してくれれば・・・と願うばかりです。