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COLUMN

リサイクル通信2023年10月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第110回 円安ドル高で変わる国内・海外市況のいま

2023.10.25

コロナが5類に移行してから、早いもので5か月余りが経ちました。その間、国内のインバウンドは復調し、今年はコロナ禍前の2019年を上回る需要規模になるともいわれています。昨年2月に端を発し、一時は落ち込んだ国内のブランド古物相場も大分戻ってきました。他の国も同じ傾向なのかと思いきや、ドルベースの香港や北米市場では小幅な動きに留まっているものや、モデルによってはむしろ相場が下落していることがあります。

いまの国内相場は海外の主要市場に比べて高振れしており、それは急速に進んだ円安ドル高がいまなお維持されていることが主な要因です。いま、国内と海外の市場で何が起きているのでしょうか。

国内外で相場に温度差、商機つかむには

1ドル150円近くの円安水準が長らく続いていることで、特に国内の時計市場は相場高騰の影響を受けています。コロナ前~渦中にかけて古物市場や買取店が増えたことで、同業同士の競り合いもあり、相場が高くなる土壌ができています。かつてはSNSなどで海外市場の情報を取得し、国内で物を売りに出しつつ、買い手がついたら海外で仕入れるといった動きをするバイヤーもいましたが、国内相場の高騰を受けて難しくなりました。

また、国内市場に流通するモノの数自体が少なくなっていることも影響しています。直近の大手古物市場では、コロナ禍前に比べると明らかに物量が減ったと聞きます。国内ではなく、海外市場に流す業者が増えてきたためです。国内で、卸売りのみで商売をやっていくには、以前よりも厳しい環境といえます。

対する香港市場も相場が停滞しているわけではなく、3日前、1週間前の相場とはもちろん違いますし、保証書日付が2か月変わってくると1000~1500ドルほども値が変わることもあり、市場の動きは活発です。

一方で、最近はドイツやヨーロッパの正規代理店でも、日本と同様にロレックスが店頭に並んでいないそうです。日本から買いつけにいったのに、1本も買えなかったというバイヤーの話も聞きました。現在は外国の業者にあまり販売しないようで、背景にはメーカーの目が厳しくなっていることがあるようです。万一、国外への横流しのように捉えられればライセンスの剥奪となるため、各代理店は神経をとがらせているようです。
ロレックスの生産数自体は以前より増加しているといった話もありますが、上記のことから、特に国内ではあまり恩恵を感じられないのかもしれません。

国内は相場が高騰し、卸売りでは利幅が圧迫されつつあり、海外では相場はさほど高くなっていないものの、仕入れには苦労する面もあります。

こうした背景を踏まえた立ち回りとしては、国内市場では個人買取と店舗販売といったBtoCが重要となります。実店舗の展開は企業規模や体力がないと難しい面もありますが、LINE査定などのSNSを活用したプロモーション、そして海外市場では、海外バイヤー間のSNSグループに参加することで、取引のチャンスを増やしましょう。数十、数百のバイヤーが集うSNSグループはザラにあり、日々活発に情報が交わされています。海外のショーに参加した際は、積極的に他国のバイヤーと交流し、商機をつかんでください。

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