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COLUMN

リサイクル通信2023年9月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第109回 盗品買取を未然に防ぐチェックポイント

2023.9.25

地域によって違いはありますが、来月10月は「防犯月間」とする市町村が多いようです。今年5月に起きた銀座強盗事件に始まり、つい先日も千葉県の質屋で強盗が発生した古物業界にとっても、あらためてセキュリティを見直す機会としたいですね。

また、並行して秋から年末の忙しくなる時期にかけて増えてくる「盗品の流通」にも注意をしなければなりません。今年6月のコラムでは古物市場に盗品が出品された場合の備えについてお伝えしましたが、実際に盗品に遭遇する機会は、様々なお客様が品物を持ち込む店頭のほうが多いかと思います。

過去にもたびたび触れていますが、事件が頻発している現況を踏まえて、盗品買取を防ぐための基本的な方法や心構えについてお伝えします。

“人”を見極め、警察・同業者との連携必須

持ち込まれた品物が盗品かどうかを判定するポイントはいくつかありますが、もっとも重要なのは「人」をよく見ることです。接客の最中に目が泳いでいたり、時間を気にしてやけに急かしてきたり、挙動不審な点が見られる場合には要注意です。普段の買取業務の中でも行われていることと思いますが、その際には「いつ、どこで、いくらで購入したか」を丁寧にヒアリングし、受け答えに矛盾や腑落ちしない点がないかを確認しましょう。

身分証明書に記載された住所が他府県など、店舗から遠く離れている場合も聞いてみましょう。やりとりの中で不審に思う点があれば、車で来店しているなら、ナンバープレートも確認しておきましょう。他府県ナンバーやレンタカーである場合にも、判断材料のひとつになります。

査定の際には、基本的なことですが付属品の有無、特に保証書がないものは気をつけましょう。シリアルから製造年代が推察できるものについては、事前にヒアリングした購入時期との矛盾がないかも併せて確認します。

また、やや主観的な面を含みますが、その人が使っていて違和感のないものかどうかも判断材料になります。例えば明らかに本人の腕周りのサイズに合っていない腕時計や、来店時の服装や外見に対して見合っていない品物であれば、注意が必要かもしれません。

ここまで接客場面で気をつけたい事柄を述べましたが、大前提として持ち込んだ人や品物が怪しいと思ったら、その時点で所管の警察署に連絡してお客様の名前と品物の詳細を伝え、盗品の疑いがないかを確認してもらうことをおすすめします。古物台帳の調査に立ち入った際など、警察の担当者とは良好な関係を築いておけば、有事の際にも連絡しやすいですし、有益な情報交換がしやすくなります。

また、全国の質屋組合や古物市場内では強盗や窃盗被害に遭った際、盗品リストが共有される仕組みがあります。多くの買取店で当たり前のように行われているかと思いますが、買取業務の際には、必ず最新の盗品リストやデータベースを参照しましょう。

自助努力は大切ですが、こと盗品に関しては警察や同業他社とのネットワークが欠かせません。日頃から各ステークホルダーとのコミュニケーションを心がけることをおすすめします。

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