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COLUMN

リサイクル通信2023年8月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第108回 ネット通販とは違う、古物市場で取引するということ

2023.8.25

長らく制限されていた中国からの団体旅行が解禁されましたね。昨年秋からインバウンドは再び盛り上がりを見せている中、足元ではコロナの感染拡大に注意が呼びかけられてはいるものの、続く円安基調もあって、日本のブランド古物需要にもさらに拍車がかかりそうです。

最後は自分の目で判断、自覚あるプロの取引を

ブランド古物市場はコロナ渦をきっかけに、それまでの対面式からオンラインへの移行が進み、結果としてこれまで以上に参加者の層が広がりました。対面で行われる手競り式は、初心者は席次によってヤリつきが難しく、安定して買えるまでに時間を要しました。対してオンラインはシンプルに入札金額の差で落札が決まりますから、初心者でもベテランと対等に競り合える利点があり、古物市場への参加が容易になりました。

ただし、オンラインが主流になりつつあるとはいえ、古物市場の根本は変わっていません。古物市場はプロ同士の取引の場であり、通常のBtoCのネット通販とは異なり、厳格な側面もあります。

「現状」「現状品」といった表現が古物市場の出品物の説明文に時折見られますが、出品物は基本的に中古品であるため、本来はこのような表現は不要です。出品物の説明が必要な場合は、前回のコラムで述べたように、売り手が外観や機能に関する特記事項を具体的に記載すべきです。単に「現状」とだけ記載されていても、取引後にクレームやトラブルに発展する可能性がありますからね。

売り手が正確な情報提供に努めることは大前提ですが、最終的には「自分の目で見て、判断する」という意識で取引に臨まれることをおすすめします。例えば「未使用品」と記載された品物であっても、コンディションに対する認識は人によって異なる場合もあります。古物市場では出品~競りにかけられるまで、下見期間を経てたくさんの人に触れられるため、情報を鵜呑みせず、必ず自分の目で確認しましょう。

機能面で隠れた瑕疵があった場合などと違い、こと外観については「買い手の責任」として、後交渉の対象にならないことが多いです。特に初心者の方々は、一点一点の下見と入札の際に、心に留めていただけたらと思います。

ちなみに、手競りが主流だった頃は「振り直し」があったことで、後交渉のテーブルに載る前段階で、再度競りにかけられていました。また、入札する対象を間違えた"段違い"なども、買い手同士または買い手と会主のコミュニケーションによって、振り直されていました(もちろん、度を超えていなければですが)。オンライン全盛となった今ではこうしたやり取りを見かけることが少なくなりました。この変化は、ちょっと寂しい気もしますね。

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