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COLUMN

リサイクル通信2023年7月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第107回 「不動」や「○○見た目」、売買で気をつけること

2023.7.25

時計の古物市場に参加すると、「不動」や「ダイヤ見た目」と表記された商品があります。意外とよく見かけるこれらの商品、「読んで字のごとく」と思って意味を理解しないまま買ってしまうと、思わぬ落とし穴があることも。

正確な表記と理解で、円滑な古物取引を

そもそもどういった商品なのか、またそうした商品を買う際や、売り手が出品するときに気をつけたいことをお話します。

もっともよく見かけるのは、冒頭に挙げた「不動」でしょうか。機械式時計やクォーツ時計が、現状動作していない状態であることを表しています。本来であれば動作する状態で出品されることが望ましいですが、お店で買い取ってすぐ出品したい売り手の要望もあり、各古物市場で出品されています。またクォーツ時計の場合は出品後、下見期間中に電池が切れてしまうこともあります。

クォーツ時計の場合に「QZ(クォーツ)止まり」とだけ表記がある場合は、電池交換すれば動作するものとして扱われます。もしも買った後に電池交換しても不動だった場合は、後交渉の対象となりますので会主に連絡しましょう。

一方で「不動(見た目)」や「BT(電池)交換後 不動」といった記載がある商品は、動作が保証されていないものですから、買う際はそれを念頭に置きましょう。

気をつけたいのが「ジャンク」「アンティーク」といった表記です。一昔前の古物市場ではアンティークといえば壊れてて当たり前=後交渉の対象外という暗黙の了解があり、その認識の下で出品されているケースをたまに見かけます。ジャンク等にあるかどうかは買い手が判断することで、現在この認識は通用しないと思いますから、もし売り手としてそうした商品を出品する際には、動作や外観の状態を正しく記載されることをおすすめします。

そのほか「ダイヤ」や「文字盤」については、特段記載がないものは純正品として扱われます。反対に、加工品の場合は「ダイヤ見た目」「文字盤見た目」と表記されている場合が多いので、メーカー保証書の有無などに特に注意して確認しましょう。

最後に、ロレックスについて。6時位置のケースとラグの間にシリアルが刻まれているモデルの場合、印字が不鮮明になっていることがあります。経年による錆や劣化、フラッシュフィット脱着時にこすってしまった場合や、故意に傷つけて不鮮明にしているケースなど、理由は様々です。売り手がこうした理由を記載せずに落札された場合、後交渉の対象となります。

ざっとではありますが、時計の古物市場で見られる不動や状態等の意味についてお話しました。厳密には、各ケースにおいて後交渉の対象となるかどうかは、参加される古物市場の規定をよく確認してください。買い手の方は、規定と商品の詳細をよく確認して入札しましょう。売り手の方は、出品する商品の状態についてわかりやすく、明らかにして記載しましょう。情報が不明瞭なまま出品しても、古物市場のベテラン勢はかえって敬遠しますし、反対に初心者が買っても後交渉が発生し、かえって面倒なことになってしまいます。お互いがスムーズに気持ちよく売買できるよう、ひと手間を惜しまずに取引したいですね。

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