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COLUMN

リサイクル通信2023年2月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第102回 浮き沈みの年始相場、今後どうなる?

2023.2.25

新年の初競りが終わり、2月に入ってブランド古物の相場が出そろってきました。前回の小欄で「今年の相場展望は明るい」とお伝えしましたが、時計に関してはまだ回復は遠い模様。ですが、ジュエリー、ブランドバッグでは上昇が見て取れました。中国のゼロコロナ政策撤廃により3年ぶりに勢いのある春節が訪れたことで、中国からのインバウンド特需も後押ししています。
今回は各カテゴリの気になるトピックを挙げながら、直近の相場感を振り返っていきます。

まず時計は、冒頭に触れたとおり動きが鈍く、昨秋からの下落トレンドが続いています。急速な円高の影響から投機目的勢が手控えた影響があらわれています。オークションの落札相場や、買取店の価格を見ているとロレックスの一部モデルで多少反発が見られるものの、円高を受けた"為替なりの変動幅"程度のようです。良くも悪くも現在ドル円相場は落ち着いており、相場を上向かせる材料も乏しい。流れを変えるとすれば、3月末の各ブランド新作発表への期待でしょうか。

存在感増す中国パワーとサステナブル潮流

対照的なのがジュエリーで、ブランド、ノンブランドとも堅調に推移。為替と地金相場が安定していることも背景にあります。ヴァンクリーフ&アーペルは特に人気で、ヴィンテージ アルハンブラシリーズの1モチーフ、5モチーフが人気を集めています。貴石では、大ぶりで色味がよいエメラルドやルビー、サファイヤが相場を伸ばしています。このあたりは、主に中国の人気ライバー(配信者)による影響もあるようです。1月の国際宝飾展に続き、3月には香港国際ジュエリーショーを控えており、各社が仕入れを強めていることも追い風です。

バッグも年末から年明け、さらに2月にかけて少しずつ上昇傾向です。時計と比べると(エルメスなどを除き)バッグの古物は新品ランクであっても、相場は基本的に定価を下回ることが多いもの。しかし今、シャネルの定番モデルは定価と同程度の値をつけるものが出てきました。また、ロエベが2月より販売開始したジブリ作品の「ハウルと動く城」とのコラボモデルがすぐに完売となり、今後の古物市場に出品されれば話題を集めそうです。

なお少し前の話題ですが、コーチがリリースした「リラブド(Re)Loved)」プログラムにも注目しています。ブランド自身が自社のバッグを引き取り、リメイクして再販売するアップサイクル・プログラムで、先行して欧州では始まっていましたが、今年から日本でもローンチされました。昨年末に報じられたロレックスの認定中古プログラムといい、ブランド側もサステナブルを意識した取り組みを本格的に展開してきています。

それに関連してか、革製品の代表格たるエルメスでも、キャンバス素材の人気が高まってきています。もちろんモデルによりますが、キャンバス地のバッグが、革製品並みの相場になるなど一昔前まで考えられませんでした。若いユーザー層の増加とともにカジュアルに使えることと、環境負荷が考えられた製品への注目度が今後も高まっていくのかもしれません。

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