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COLUMN

リサイクル通信2022年4月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第92回 新年度、過熱相場の先行きは

2022.4.25

4月に入り新年度を迎え心機一転、仕事に臨んでいる方も多いのではないでしょうか。幸先の良いスタートを切りたいところですが、古物相場はそうもいかないようで・・・。特に時計に関しては、春は新作発表も重なり値動きしやすい時期ですが、例年以上に不安定な状況です。

2月末から続くロシアによるウクライナ侵攻と、新型コロナによる経済情勢の先行き不安から、ロレックスの人気モデルを中心に相場が暴落しています。以前噂されていた香港のロックダウンは起こらなかったものの、中国・上海でのロックダウンもインパクトとなりました。結果、前回(3月上旬)の小欄執筆時点ではまだ影響が見られなかった、デイトナやGMTマスターなどの定番スポーツモデルにまで相場下落が波及しています。

また例年、3月は決算期末を迎える企業が多く、国内の古物市場では出品数は増えるものの買い控えが起き、マーケットにモノがダブつきがちに。こうした諸々の理由から、下落トレンドが決定的となりました。

時計はダウントレンド、高騰相場の調整局面

本稿執筆時点(4月上旬)の相場例ですが、サブマリーナ Ref.126610LN(新品)は今年2月初めに200万円以上の小売価格が主流でしたが、現在は170万円ほど。デイトナ Ref.116500LN(新品)の黒文字盤は580万円前後でしたが、現在は500万円を切っています。モデルによりけりですが、2月初め頃と比べると10~15%ほど値を落としています。

また3月末から4月初旬にかけてオンラインで開催された時計の見本市「ウォッチズ&ワンダーズ」での新作発表に伴って、一部でディスコンが噂されていたミルガウスやGMTマスターがカタログ落ちしないと判明し、一転して下げ相場になっているなど、局所的なトレンドも影響しています。

ただ、この下落トレンドは2008年のリーマンショック時のような古物全体に広がるようなものではなく、上記に挙げたような一部モデルが中心です。

例えば、3月17日の当社主催RKオークションの時計大会では当初、落札率が7割を切るともいわれましたが、結果的に8割以上の商品が落札されました。平月に比べれば1割以上ダウンしているものの、パテックフィリップを中心に根強い人気を持つモデルが相場を底支えしました。

昨年は春から夏にかけて右肩上がりの相場が続きましたが、今後は調整局面に入るでしょう。本稿執筆時点ではドル円為替がかなり円安に振れて130円に届くかという声もあります。為替と相場が比例していくか、その面でも判断が難しい局面ではあるものの、過熱相場が沈静化しつつある今は、これからを冷静に見定めるタイミングでもあると思います。

小欄でも何度か触れてきましたが、ひと月の間に時計の相場が100万円も上昇するような、一部モデルに見られる「過熱相場」が異常事態であることは忘れず胸に留めておかなければなりませんね。

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