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COLUMN

リサイクル通信2022年3月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第91回 揺れる世界情勢と時計相場

2022.3.25

年初から高騰し続けていた時計の古物相場にストップがかかりました。これまで相場上昇一色に染まっていたのが、ここにきてダウントレンドの兆しが見えます。今のところバッグや財布などの雑貨類、宝石に関してはネガティブな動きは見られず、投機対象としての性格が強い時計に影響が表れ始めています。

いくつかの外部情勢が要因で、ひとつには香港の新型コロナ感染拡大が影響しています。年明け以降、感染者が急拡大していることから、本稿執筆時点(3月上旬)では3月中旬頃からロックダウンが発令されるのではないかといわれています。感染拡大に伴って市内の店舗は閉まっているところも多く、ロックダウンの噂を受けてか、スーパーマーケットの商品棚はガラガラだそう。物流の停滞が見られる中、さらにロックダウンとなれば世界の貿易港たる香港だけに、古物相場への悪影響は避けられないと思います。
現在も、ロレックスのデイトジャスト系や、昨今人気が高いオイスターパーペチュアルのカラーダイアル系に相場下落の動きが見られます。安泰と見られていた定番人気のスポーツモデル系に波及していく恐れもありそうです。

定番人気モデルも余波の恐れ 値動きに注意

また世界が注目するウクライナ危機も、今後どのような影響が出てくるか未知数です。連日、痛ましいニュースが駆け巡る中、ロシアに対する各国の経済制裁にも注目が集まっています。対抗措置によって様々な輸出入が滞った場合、ヨーロッパ経済圏が被る影響か、今後数ヶ月間のスパンで見たときに、古物相場に響いてくる可能性が考えられます。紛争による経済不安から地金相場は上昇し続けており、それに伴って潰し系の商材も相場は上がると思われますが、今後の予断を許さない状況です。

なによりも、本稿執筆時点では依然として危機が続いていますから、一刻も早い沈静化を願ってやみません。

時計相場下落の背景にはこうした海外情勢に加えて、シーズン特有の国内事情も関係しています。2月は営業日数が少ないため、各古物市場の開催日程調整に伴って、月末に集中する傾向があります。競りが重なることで、例月に比べると商材や買い手の動きに鈍く、相場にも影響が出ています。また、3月は多くの企業が決算期末を迎えますから、買い控えの傾向も顕著です。

なお、直近では業界大手の古物市場がリニューアル後に初開催され、ご祝儀も手伝って多くの人・モノが流れたことで、他の古物市場では満足に荷が集まらないこともあったようです。こうした様々なイレギュラーが複合的に絡み合って、時計相場の下落に影響を及ぼしました。昨年に比べれば依然として高い相場水準ではあるものの、今後しばらくは値動きに気を払う必要があります。

ひとつ、今後の相場回復の展望として、アメリカからの入国時における隔離制限が3月より緩和されていることが挙げられます。段階的ではありますが、今後の流通活性化に望みをかけたいところです。

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