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COLUMN

リサイクル通信2022年1月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第89回 激動の2年間、2022年の幕開けは

2022.1.25

遅ればせですが、明けましておめでとうございます。2022年も皆様よろしくお願いします。ここ2年間は新型コロナウイルスの話題が上らない日はありませんが、今年も年明け早々、新規感染者数が東京都3000人、大阪府2000人というニュースが世間を賑わせています。振り返れば、昨年1月は史上二度目の緊急事態宣言が発令されたときで、2年連続でコロナに翻弄される年初めとなってしまいました。本稿執筆時点(1月上旬)では緊急事態宣言には至っていませんので、なんとか収まることを願うばかりです。

非対面普及で買い手増、相場と勢力図に変化

さて、年明け間もないですが、ブランド時計の相場は早速大きく動いています。ロレックスのメーカー定価が1月1日に改定(値上げ)され、大きなところでは約10%も上昇したとあって古物相場にも影響が出ています。代表的なデイトナ Ref.116500LN(白文字盤)は定価160万円超えとなり、2016年の発表当初から実に30万円以上も値上がりしたことになります。それに比例して、買取価格は500万円に迫る高騰ぶり。

ご存知のとおり国内の品薄から圧倒的なプレミアがついているロレックスのスポーツモデルですが、この2年間は新型コロナによる流通や渡航(行動)制限によって富裕層や投機筋のマネーが流れ込んだことで、業界の人間も口々に「異常」といってしまうほどの相場となっています。今後の新型コロナや経済動向によって振れ幅はあると思いますが、この2年間の相場推移をみると、、、傾向は大きくは変わらない気がします。

その背景には、古物市場の非対面化&オンライン化が急速に進んだことも影響しています。コロナ禍で普及したネットオークションや入札制度は、場所や会場の大きさによる買い手数の制限を取り払い、結果的に相場を引き上げる形となりました。非対面式の競りが主流となり、より多くの人が競りに参加することで値が上がっていくため、相場が上昇しやすくなっています。

なお、買い手数の増加には、バイヤーの分散が進んでいることも関係しているようです。非対面式の競りが主流となったことで、それまで企業に勤めていたバイヤーが独立し、個人で参加するケースが増えています。対面式の競りでは企業力やしがらみ等で買える、買えないに差がありましたが、非対面式となりそれらが無くなったことも、バイヤーの独立を後押ししているようですね。結果、バイヤーの分散化が進み、業界内の勢力図も一極集中から情勢が変わってきています。

こうして振り返ると、もはや当たり前のように感じている現状も、このコロナ禍の2年間で急速に変化したものです。2022年、今年もブランド古物業界にとっては激動の一年となるのでしょうか。

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