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COLUMN

リサイクル通信2021年12月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第88回 バイヤーに人気のウブ荷

2021.12.25

昨年以上に激動の一年と呼ぶにふさわしい2021年が、まもなく終わりますね。今年は緊急事態宣言が実に半年以上にわたり続いたことで、「コロナ禍」という非常事態が、いつの間にか当たり前化しつつある感覚さえ覚えてしまいました。本稿を執筆している12月上旬時点では日本国内のコロナ情勢は落ち着いていますので、来年こそは穏やかで前向きな一年となることを願ってやみません。

さて、今年最後のコラムとなります。例年でしたら、一年間の古物市場や相場動向を振り返る内容が多いのですが、新年間近ということで、今回は「初」にちなんで「初荷(ウブに)」に関する内容をお届けします。

ピークは初回、繰り返し出品は要注意

古物市場に参加していると、ウブ荷という単語をよく耳にされるのではないでしょうか。これは文字どおり、古物市場での初物=それまで誰の目にも触れていない品物を指します。もっと具体的にいえば、買取店などが一般のお客様から買い取った品物のこととです。

よく「あそこの市場はウブ荷が多い」なんて文脈で使われますが、バイヤーはウブ荷を好む傾向にあります。ウブ荷の多くはワンオーナー品のため、あまり手を加えられていないオリジナルの状態であることが見込めるからです。業者出品の荷となるとポリッシュ等のリペアが施されて、例えば時計ならケースが痩せていたり、エッジ部分が丸まってしまっているなど、オリジナルの状態ではなくなってしまっていることがあるからです。

こうした点からウブ荷はバイヤーに人気があるのですが、それも初めて市場に出品されたときがピークです。古物市場に流通したウブ荷が後日、別の古物市場に出品されたとしましょう。当然、それはもうウブ荷とみなされず、通常の業者荷として見られます。それどころか、前の古物市場に出品されていたことを覚えているバイヤーからは「売れ残り」のような印象を抱かれ、敬遠されたりすることも・・・。

(たった一度出したくらいで、そんなに覚えている人いるの?)とお思いの方もいるかもしれませんが、皆さん驚くほど覚えているんですよね(汗)幾人もの目にさらされた品物のことは「眼垢(メアカ)がつく」なんていわれたりもしますから、古物市場間でひとつの品物を繰り返し出品されるのは避けることをおすすめします。

例年と趣向を変えて、今年は古物市場用語の小ネタについてお話しました。おかげ様で小欄の連載は7年を数えます。これまでもお付き合いいただいた皆様も、今回初めて小欄をお読みいただいた方も、今年は大変お世話になりました。来年はいよいよ連載8年目、今後もより幅広いトピックを発信してまいりますので、2022年もどうぞよろしくお願いいたします!

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