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COLUMN

リサイクル通信2021年7月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第83回 気になる相場、「ノーチラス」と「サブマリーナ」
投資家からも熱い視線注がれる時計相場

2021.7.25

本稿が掲載されるころには東京五輪の会期真っただ中でしょうか。東京都では実に4度目となる緊急事態宣言が発令され、異例づくめの開催となってしまいそうです。開催についてもいまだ賛否両論はありますが、テレビ画面越しに見るアスリートたちのがんばる姿から、少しでもエネルギーをもらえたらと思っています。

さて、前回前々回と入札方式における二番手制度を説明しました。今回は久々の「相場編」として、6月の弊社オークション落札実績を例に時計相場を読み解きます。時計は人気モデルを中心に相場高騰が続いていますが、特に印象的だった2本をご紹介します。

パテックフィリップ ノーチラス Ref.5712/1A001
コンディション/中古Aランク
付属品/保証書 箱 余りゴマ
2021年6月
RKグローバルオークション(現RKオークション)
落札結果 ¥10,680,000-

パテックフィリップからは、ノーチラス プチコンプリケーション。本モデルに限らず、昨今ノーチラスは全般的に相場高騰が著しいですが、特にSS(ステンレススティール)モデルはその人気から過熱ぶりがすさまじいですね。同型番は一昨年(2019年4月)の大会では670万円で落札されており、およそ2年の間に400万円近くも値上がりしたことになります。ちなみに、ちょうどその年の2月、小欄では「ノーチラス相場はダウントレンド」と書いておりましたが、当時のトレンドからは考えられない相場高騰の勢いに、驚きを禁じえません。

ロレックス サブマリーナー デイト Ref.116610LV ランダム
コンディション/中古SAランク
付属品/日本ロレックス保証書 箱 余りゴマ
2021年6月
RKグローバルオークション(現RKオークション)
落札結果 ¥2,050,000-

昨年9月の新作発表直後に相場が高騰したグリーンサブ。年末年始にかけて相場は一旦落ち着き、春先までは160万円前後で推移していましたが、再び高騰しつつあります。6月大会に関しては昨年の新作発表直後の相場を上回る、200万円超で落札されています。ロレックスはディスコンモデルの相場高騰が常で、今年4月の新作発表でディスコンとなったエクスプローラー1(Ref.214270)やエクスプローラー2(Ref.216570)もジリジリと値上がりしていますが、グリーンサブは海外市場での人気が高いこともあり、特に注目株といえそうです。

以上のように人気モデルはSSを中心に相場高騰の傾向が一段と高くなっていますが、最近は同型モデルのコンビや無垢までその影響が波及しています。また、つい先日はアメリカの経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」に高級腕時計が投資家にとって外せない投資対象となっているとの記事が掲載されていました。これまでは古物業界や腕時計フリークを中心に資産性の高い時計が注目されていましたが、いまや投資家にとっても有力な投資対象としても視線を注がれているようで、相場高騰に拍車がかかりそうです。

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