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COLUMN

リサイクル通信2021年4月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第80回 年度始め&新作発表で相場上々、だけれども

2021.4.25

未だ新型コロナウイルスに対する警戒は緩めることができず、緊急事態宣言のあとは「まん延防止措置」へと、次のフェーズに移りました。昨年の今頃、よもや1年先もこうした状況が続くとは、どれくらいの方が予想していたでしょうか。

とはいえ、新型コロナがあまりにも未知数だった昨年春頃から状況は変わりました。ブランド古物業界では昨年の今頃はコロナショックで相場がガタ落ち、古物市場でも不落札が続出していましたが、最近では相場上昇の一途を辿っています。理由は前々回の小欄(第78回 「コロナなのに相場上昇」を読み解く)で触れたとおりですが、2月から3月終わりにかけて、さらに2段階くらい相場が上がったイメージです。

私どもが主催するRKグローバルオークションでは、3月が年度末の企業も多いため例年は買い控えが見られたのですが、今年に関してはあまり見られず、むしろ買いが先行していました。

世界的バブル状態 買いは焦らず冷静に

3月は特に国内業者よりも海外への卸売りを生業とする業者が強く、免税販売が活況なことが伺えます。ビジネストラックの制限がまだまだ多い中でも市場相場が世界的に高騰しており、特にロレックスを筆頭とする時計は一種のバブル状態に。投機的な価値を見出されてのことで、それが相場だといえばそれまでですが、本来の価値から大きくかい離しているようにも思えます。

その勢いに拍車をかけるのが、スイス時計の見本市「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ(旧SIHH)」です。これまで1月に開催されていた旧SIHHですが、今年はオンライン形式で4月開催となりました。注目のロレックスからは新型エクスプローラーやメテオライト文字盤のデイトナ等が発表され、話題をさらっていますね。

さらに例年であれば年度末に在庫を絞った各社が、年度が明けた4月から買いを強めていく傾向にありますので、相場にさらに追い風が吹きそうです。

ただし、今回の新作発表でディスコン(廃盤)となるモデルについては、相場の波が読み切れないところがあります。直近でいえば、昨年ディスコンとなったロレックス グリーンサブ(Ref.116610LV)は一時200万円近くまで急上昇した後、30万円以上値を落としました。最近は一般消費者も相場に敏感ですから、小売り店の中にはディスコンものを店頭から引いて様子を見るところも出るんじゃないかと思います。

前述のとおり現在はバブルともいえるほどの過熱状態ですから、大型連休前後まで様子を見て、その後に値付けする企業も多いのではないでしょうか。「年度始め」と「新作発表」が重なって、相場は上昇の一途を辿ると思いますが、青田買いとばかりに焦って買うのはまだ時期尚早かもしれません。大型連休明けの相場が、冷静な判断をするための指標となりそうです。

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