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オークションのいろは

COLUMN

リサイクル通信2020年11月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第75回 拡がるネットオークションの背景

2020.11.25

冬場に入って、にわかに新型コロナウイルスの感染拡大がまた叫ばれ始めてきました。春以降、手競りでのオークションは全国的に控え気味ですが、その傾向はまだ続きそうな気がしています。

そうした状況の中、リアルオークションに替わって注目を集めているのはネットオークションです。ちょうど一年前、小欄にて「ネットオークションが増える、2つの理由」というコラムを寄稿しましたが、当時の予想以上に拡大していると感じています。

当時は「ネットオークションへの抵抗感が薄れていること」「ブランド古物市場が飽和状態にあること」を理由に、これから拡大していくだろうと予想しました。現在もそれは変わっていません。特に新興の古物市場は増加しており、古物市場間の競争は激しくなっていると言えます。

リアルより開催しやすくコロナで加速

ただし、今年はそうした理由以外にもネットオークションの展開を後押しする理由があります。
まずは冒頭に挙げたとおり、新型コロナによってリアルオークションの開催が難しくなったことが挙げられます。全国から買い手が集まるような大きな古物市場であれば、会場までの移動や手競りでの密集によるリスクが懸念され、ネットオークションに移行せざるを得ない状況のためです。

さらに、そうした外部要因のほかにネットオークション自体の開催のしやすさが挙げられます。会場を用意して開催するリアルオークションと異なり、プラットフォームが用意できればすぐにでも開催することができます(モノと人を集める方法はさておき)。
もちろん、自社でシステムを構築するのであれば相当のコストが必要で、決して容易ではありません。しかし、最近では下関の「ものばんく」さんのように、自社のプラットフォームを他社へ提供している企業があります。自社で一からプラットフォームを構築する必要がなく、参入障壁がグッと低くなったと言えるでしょう。

このように、もともとネットオークションが拡大傾向にあった矢先に、新型コロナが発生したことで拡大に拍車がかかったのが今年でしょうか。
なお、ネットオークションが拡大した影響のひとつとして「買い歩銭」が主流になりつつあることに注目しています。これまで手競りの市場では売り歩銭のみで、買い歩銭はもらわないのが主でした。しかし、多くのネットオークションでは買い歩銭があります。運営側のシステム維持費や運営人件費などに充てられるためだと思いますが、利用者側もリアルオークションと比べて「場所や時間を拘束されない」メリットから、受け入れているようです。
現在はネットオークション以外にも、入札方式の競りでWeb下見、Web入札を行う市場もありますから、買い歩銭のルールが広がっていく可能性がありそうです。

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