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オークションのいろは

COLUMN

リサイクル通信2020年9月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第73回 コロナ禍の半年間を振り返って

2020.9.25

ピークを超え、少しずつ落ち着きつつある新型コロナウイルスの新規陽性者数。とはいえ、予断を許さない状況に変わりはなく、古物業を営む皆様は店舗、市場の運営で大変な苦労をされていることと思います。

この半年間は、新型コロナウイルスの影響を大きく受けて様々な判断を迫られました。コロナ対策を踏まえた、新しいオークション形式もいまでは一般的になってきました。現在、全国の各市場はそれまでの主流だった「手競り」から、「ネットオク」や「入札制」といった非対面の競りへとシフトしています。
手競りとまったく同じとはいかないまでも、反響は大きいようです。実際に、当社ではコロナ以前の2019年秋からネットオクを開始していましたが、相場自体は高めでしたが出品数、出来高は手競りと比べればまだまだ…といった規模でした。しかし、コロナ禍の影響から参加者のニーズに応じる形で開催数を月一回から月二回へと増やし、フィーチャーされるようになりました。これは入札制も同じです。

市場は翻弄されるも相場は上昇トレンド

相場に関しては、意外にも上昇トレンドが続いています。振り返ってみれば、コロナ以前の今年2月まではブランド古物の相場は上昇傾向が続いていましたが、横浜のクルーズ船でのクラスター発生を皮切りに、3月にはパニックに近い相場下落となり、一時は業界に衝撃を与えました。
ただし、その相場下落は長期化せず、4月下旬頃から徐々に回復基調となりました。現在に至っては、ブランド古物全般がコロナ禍以前の相場以上に持ち直しています。背景には、需要と供給のギャップがあります。

個人からの買取が減少し、その状況は今も大きく好転はしていません。海外からの仕入れも鈍化しているので、国内在庫が少なくなっています。一方で、国内のブランド古物の小売は好況が続いています。コロナ禍の影響から、これまでレジャーにかけていたお金が、モノに流れつつある傾向があるのかもしれません。市場の在庫は減少しているのですが、それに対して需要が増加しているために相場が上昇しているようです。
さらにいえば、古物市場で落札相場が上がり、その次に開催される市場はその相場をもとに競って、また相場が上がるサイクルが続いているのも大きな要因でしょうか。

まだコロナが収束していない中で語るのは尚早かもしれませんが、現在の状況はよく2009年のリーマン・ショック時と比較されます。そのころと比べると、相場の回復が早かったことが大きな違いでしょうか。かつてはリーマン・ショック以前の相場水準に戻るまで一年程度の期間を要したと思いますし、直近の国内GDPは大幅下落となっていますが、株価や為替は回復基調となっていてかつての危機とは少し毛色が異なる印象です。リーマン・ショック時と状況が決定的に違うのは、海外からの輸入が滞っていること。現在の相場は国内需要に引っ張られる形で伸びていますから、ここに関しては今後注意が必要かと思います。

最後に、今後年末にかけて相場を左右する大きなトレンドは、なんといってもロレックスの新作でしょう。今年の新作は例年に比べて早く市場に流通するようで、市場相場の値動きもいつも以上に早くなると思います。中でも、コレクションが刷新されたサブマリーナーにおける筆頭注目株のグリーンサブ(Ref.126610LV)。ディスコンとなる前モデルはいずれも発表前から相場上昇の兆しがありましたが、中でもグリーンサブはとびぬけて高騰しています。ディスコンになったモデルの相場が上がると、それに連動するかのように他のスポーツモデルの相場も上昇する傾向にありますから、ロレックス全般の相場に一層注目が集まりそうです。

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