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オークションのいろは

COLUMN

リサイクル通信2020年8月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第72回 ネットオク、入札方式の良し悪しって?

2020.8.25

今年のお盆休みは帰省ラッシュではなく、近場のレジャーに行くためのラッシュが相次いだようですね。都心を始め全国的にそうした動きにつながっているようで、以前東京都の小池都知事がおっしゃった「特別な夏」なのだなぁと実感しています。

さて、そうした情勢の中、各地の古物市場ではネットオークションや入札方式での競りが増えていることを本コラムでもお伝えしてきました。これまではそれぞれの競りの概要をお話しましたので、今回はもう少し詳しく、ネットオク・リアル入札方式のメリットやデメリットについて触れたいと思います。

場所・時間で効率UPも相場下落時は注意

ネットオク・リアル入札方式ともに非対面取引のため、今まで買えなかった人も買いやすくなっていることは前にお話しました。手競りでは声の張り方などのアピールの優劣や席次などのしがらみがありますが、ネットオク・入札方式では純粋な入札金額で勝負が決まるからです。

ネットオクでは下見も入札もWebで行え、場所に拘束されないメリットがあります。入札方式であれば、事前に入札値を入れておけば時間的な拘束がない点も良いですね。ライブ方式ではWeb上でも手競り感覚で入札でき、競り上がっていくリアルライム感が魅力ですが、拘束時間が長くなってしまうことも。手競りでは1点数秒で進行するものが、ライブ方式は10~15秒ほどかかり、終日張り付きになる場合もあるようですね。

また、純粋な古物業者だけではなく、個人で参加しているいわば「隠れカスタマー」も存在しているようです。彼らがいることで、古物市場の相場(BtoB)と、消費者の相場が近くなりつつある面もあるようですね。

リアル入札方式は、下見会場で商品を実際に見られることがネットオクと異なる特徴です。時間的な縛りがない点は、前述のネットオクの入札方式と同じ。拘束時間がなくなるため、その分他の市場や商談に参加するなど、効率よく立ち回れる点が大きなメリットです。なお、私どもが主催するRKグローバルオークションでは6月大会からリアル入札方式を行っていますが、7月大会では出品社数、出品商材とも前月から3割程度増加しました。まだ年初と同じ水準とはいきませんが、徐々に以前のボリュームに近づいています。

参加社が入札方式に慣れてきたことや、新型コロナの影響ももちろんありますが、「相場と落札率の高さ」に魅力を感じて参加を決めた方も多いそう。競り上がりと異なり、入札方式では買い手はMAXの金額で入札するため、相場は高くなる傾向が強いようです。図らずも、かつて古物市場の主流であった"一本ヤリ"形式となっているわけです。

一方で、デメリットというか私が懸念している点がひとつ。手競りでしばしば起こりうる、「勢いに乗って相場以上の値で落札される」ことや、あまり声が出ていない商材でも「お付き合いで落札」されるといったことが、ネットオクやリアル入札方式には介在しないことです。

もちろん、こうしたしがらみがないことが魅力でもあるのですが、相場が下落に転じた際、こうした"救済"がないのはちょっと怖いなとも思います。現在の相場は上昇傾向が続いていますが、相場が下落に転じたときは注意が必要です。

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