オークションのいろは
COLUMN
リサイクル通信2020年7月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』
第71回 コロナ時代に注目を集める「入札方式」
2020.7.25収束を見せない新型コロナウイルス。本コラムを執筆している7月中旬現在、東京都で連日100~200名を超える新規感染者が出て話題となっています。世界的にみると、新規感染者数は7月に入ってから200万人以上増えているそうで、日常が落ち着きを取り戻すのはまだまだ先ですね。
そうした背景もあって、前回前々回と紹介したネットオークションが台頭する中、リアルでも"密"にならないオークション形態として「入札方式」が注目を集めています。私どもが主催するRKグローバルオークション(以下、当会)でも、6月から入札方式での競りを開催し、買い手と売り手、双方から様々な声を聞くことができました。今回は入札方式について、実際に私どもが運営してみてわかったことをもとにお話します。
非対面のメリット、対等勝負も
まず入札方式とは、買い手が事前入札を行い、入札金額がもっとも高かった人が落札者となるシステムです。運営形態は古物市場によって様々ですが、商品の下見はリアル会場で行い、それを踏まえて入札するパターンが多いでしょうか。入札内容の集計は古物市場の運営スタッフが行い、落札結果が直接買い手と売り手に伝えられます。
買い手が会場に一同に介する手競りと違い、入札方式では買い手同士が対面することはありません。あくまで事前入札の内容によって落札成否が決まるため、競り上がりがない点も特徴です。
対面ではなく、競り上がりもないから相場的にイマイチじゃ・・・そんな懸念もありましたが、実際に当会でやってみた結果としては、売買双方にとって満足ゆくものでした。相場・落札率とも良く、特に後者に関しては時計の落札率が98%と、過去最高値に。競り師の立場がないな・・・なんて思いながらも、参加者にとってご納得いただける内容となりホッとしました。
好相場の理由は、緊急事態宣言が解除されてからの需要増加にくわえて、ネットオークションと同じく「非対面取引」だからこそ。手競りではベテラン勢相手になかなか買えなかった方も、入札方式であれば対等に戦えます。事実、当会ではこれまで手競りはあまり参加されなかった方が入札方式ならと参加され、参加者数は予想以上となりました。
お客様の中には「やっぱり手競りじゃないと」という人もいますが、一方でこれまで買えなかった人も買えて、かつ長時間の手競りによる身体的な負担がないことから、好意的な声もたくさん聞けました。
コロナの影響を鑑みて、下見会場ではお客様同士が対面しないような席配置とし、下見参加も一社一名様のみで予約制を敷いたりと試行錯誤しましたが、やってみてよかったと思います。都内の大手古物市場さんは、現状どこも入札方式やネットオクを開催されており、これからの新たな大会方式として根付いていくのではないでしょうか。