オークションのいろは
COLUMN
リサイクル通信2020年4月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』
第68回 アウトバウンド頼みの相場に陰り
2020.4.25連日ニュースやワイドショーは新型コロナウイルスの話題で持ちきりですが、古物市場も例外ではありません。小売り・卸売り業とも、日々の運営に苦心されているのではないでしょうか。直近の出来事を振り返ってみると、ブランド古物業界にも加速度的に刻々と状況が変化しています。
まず、全国の古物市場は中止または運営体制の見直しを進めていて、すでにリサイクル通信さんでも報じられたとおり、私どもが主催するRKグローバルオークションも4月大会に関してはリアル競りを中止とし、ネットオークションのみとしました。
古物市場が軒並み上記のような状況のため、全国的に商材の流れが鈍く、相場にも大きく影響が出始めています。前回のコラムで「入国規制などが実施されたら(市況がどうなるか)」とお伝えしましたが、いま現実問題として直面しています。卸売り業にとって主な売り先だった米国や香港への入国に実質的な規制が敷かれ、輸出に滞りが生じています。
損切り覚悟、ネットオク検討も
そうした背景から古物相場は大きく値を下げていて、例えばロレックスのRef.116500LN デイトナは、直近の平均相場から40万円ほど低下し、他のスポーツモデルも概ね2割以上相場が低下しました。あまりに急激な値崩れに、古物市場では不落札となるケースも多く、値がつきづらい状況が続いています。近年、売上の多くを海外マーケットへの輸出に依存していた、アウトバウンド頼みのもろさが現れていると思います。そのため、現在の相場はいまほど海外市況が盛んでなかった2年前程度の水準となっています。
海外卸売り専業の場合、古物市場や海外市場に売れなければ、在庫が滞留して運営資金がひっ迫する恐れも出てきます。ならばと、国内で売ろうにも前述のとおり古物市場の開催が少なくなっているため、売り先が限られてきています。外出自粛の影響から、小売りに回してもモノが売れにくく、難しい局面です。ちなみに、本コラムを執筆している4月上旬現在、国内の中古小売り価格は、さほど下がっていませんが、これは仕入れ時の相場(値段が高かった頃)に合わせているためで、今後は小売り価格にも顕著に影響が現れていくでしょう。
少なくとも、政府より発令された緊急事態宣言の区切りとなる5月6日までは厳しい情勢が続くことが予想されます。経営体力が続くようならばゴールデンウィーク明けまでは様子を見るのも手ですが、場合によっては損切りも覚悟で売り値を下げていかなければなりません。 売り先にも苦慮する状況ですが、一方で世の中がテレワークを推奨する流れを受けて、各古物市場がネットオークションを前面に打ち出す動きもあるようです。従来の立ち回りが難しいいま、トライアルされていない方は新たな売り先として検討の余地はありそうです。