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COLUMN

リサイクル通信2019年5月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第57回 平成古物業界を振り返って

2019.5.25

今年はゴールデンウィーク期間中に「令和」に改元され、一段と印象に残る連休となった方も多いのでは。新たな時代に移る一方で、いまなお様々なメディアなどで、過ぎた「平成」への思いを巡らせるニュースを見かけます。ちょっと遅いですが、その流れに乗って、平成の古物業界をざっくりと振り返ってみました。

私がいまの会社に入社したのは、今から25年前の平成6年。入社当時は古物の知識はなく駆け出しでしたが、平成の古物業界を渡り歩き、多くを学びました。平成初期は、リサイクルやリユースの概念は今ほど根付いておらず、消費者がブランド品を売るのは主に「質屋」でした。それから「リサイクルショップ」が生まれ、大手業者が手掛けるフランチャイズが全国的に普及。平成中期には、物を売る先として、質屋とリサイクルショップが当たり前となりました。

その後、平成後期にかけてはリサイクルショップがどんどん増え、反対に質屋が年々減っていくことに。一方で、ヤフオクやメルカリを始めとする「CtoC」が盛んになりました。新しい古物市場がどんどん生まれたのも平成後期から。由緒ある古物市場は参加ハードルが高く、新規参入が難しい時代がありました。そんな中、当社主催のRKグローバルオークションのような新興市場が登場。ここ10年ほどでその波は日本全国に広がり、今は古物市場への参加はかつてほど難しいものではありません。国内外で開催されるショー(展示販売会)や、海外市場との売買も盛んになり、商売のチャンスは圧倒的に広がりました。

平成に成長したリユース市場、令和に期待

かつては物の売り先が少なく、古物業界の市場規模は限られていました。インターネットの普及とともに、売り先も仕入れ先も国内外に広がったことで、リユース市場は今までにないほど盛り上がりを見せています。ただし、マーケットが広大になり参入しやすくなりつつも、国内外に競合ひしめく"レッドオーシャン"となった古物業界。ビジネスの成功を収めるのは、平成初期より難しいかもしれません。

そして、商売のやり方は変化しても「相場」が為替や株価に左右されるのは今も昔も変わらず。平成を振り返ると真っ先に思い浮かぶ、リーマンショックは、100万円のデイトナが50万円まで値を下げるような一大事件で、ドル円相場は110円から80円台に、地金相場も1,000円ほど急落。当時の古物市場は指値(さしね)を入れることが一般的ではなかったため、売っても安い、買っても次の市場でまた値下がりして歯止めがきかない状況に皆嫌気していました(空気が張り詰めていて、参加者同士が口をきかないことも汗)。半年ぐらい経って相場は回復していきましたが、あのときは厳しかった。

リーマン以降も、ギリシャの経済危機やイギリスのEU離脱問題、最近では米中の貿易摩擦など、株価や為替に影響を与えそうな事件が続いています。これらの転び方で、古物相場が大きく動くのは避けられないでしょう。とはいえ、リーマンショックの頃と比べたら、市場規模が格段に広がっています。商売のチャンスが増え、マーケットの買い気も高まっている今、(不安材料はあれど)令和元年は明るい一年になるんじゃないかと期待しています。

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