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COLUMN

リユース経済新聞2024年12月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第124回 再生や変化の2025年に向けて

2024.12.25

「早いもので今年も・・・」という冒頭文も、何度目になるでしょうか。おかげさまで今年も皆さまに年末のご挨拶をさせていただくことができました。少し早いですが、来年も小欄を引き続きよろしくお願いします。毎年いっているような気がしますが、もれなく今年もブランド古物業界にとって激動の一年となりました。年初から、今までのトピックを振り返ってみたいと思います。

年初から激動の1年、乱気流も徐々に明るい兆し

世間ではすっかり触れられなくなってしまいましたが、なんといっても「トケマッチ事件」の衝撃が大きかったですね。2月に大々的に報じられたこのニュースをきっかけに、2024年の出足は決して悪くなかったブランド古物時計界隈が騒然となりました。当初は古物市場への出品数が大きく減り、相場への暗雲立ち込める事態に。

古物業者の間でしっかり横の連携をとり相場への大きなダメージはなかったものの、未だ市場に被害品が出品されることもあり、影響は尾を引いています。メーカーからの明確な回答はないのですが、当該品はメーカーサポートが受けられないという話もあります。この件以来、他社のブランド品の委託・貸出サービスも軒並み停止または一部内容を変更せざるをえませんでした。こうした二次、三次被害も含めると、事態の解決にはほど遠いようです。

8月には、記憶に新しい「令和のブラックマンデー」と評された、日経株価の大暴落がありました。株価自体の低迷は長期化しなかったものの、9月頃までの一か月程度、ブランド古物相場には大きな打撃に。古物市場への出品数は減り、落札率も大きく低下したことで時計を中心に相場が低迷。国内はもちろん、海外に卸そうにも為替が円安に動いたことで、各社とも荷もたれ気味になっている様子が見て取れました。相場が高い時期に仕入れた商材を、この時期に泣く泣く損切りしたという声も多々聞かれました。

その後、10月以降、徐々に相場は回復トレンドに。イスラエルを発端とする地政学リスクから高騰する金相場も後押しとなりました。ただし、古物市場の動きを見ていると、確かに売れ行きは伸びているのですが、筋としては海外市場向けが中心のようです。特に高額の時計はその傾向が強く、国内小売市場が盛り返しているとは、一概にいえないようです。実際、香港では7月後半~9月ごろまで市況が芳しくなく、10月から再び市場に動きが出てきたとのことで、国内の古物市場のアップダウンと連動しています。香港の時計ショーにはアジアだけでなく、ヨーロッパやアメリカなど世界各国からバイヤーが集まっており、今後も国内外の相場を占う指標となるでしょう。

とはいえ、年初と夏に混乱をきたしたブランド古物相場は着実に上向いています。来年の干支である巳年(へびどし)は、脱皮して成長を遂げる蛇のイメージから「再生」や「復活」「変化」を意味するそうですから、それにあやかって2025年は明るい市況となることを期待しています。

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