オークションのいろは
COLUMN
リユース経済新聞2024年11月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』
第123回 トランプ氏の勝利に、ロレックス新展開の行方は
2024.11.252024年11月は、国内外で様々な話題が飛び交うひと月となりました。国内では横浜DeNAベイスターズが実に26年ぶりに日本一に返り咲きましたね。チームのお膝元である横浜・関内に本社を構える私たちも、地元の盛り上がりを目のあたりにしました。
〝またトラ"で円安進み国内古物市場は追い風
それはさておき、今年もっとも注目されていた米大統領選の行方は、トランプ氏の勝利で幕を閉じましたね。小欄でも、今後の経済情勢や古物相場を左右するとして度々触れてきましたが、いわゆる「トランプ・ショック」の影響は今のところなさそうです。景気緩和策が加速するとの見立てから、米国株・ドルとも値上がりし、円安に振れていることで国内古物相場には追い風に。また、引き続き中東情勢への懸念から地金相場も高騰しており、時計とジュエリーは相場上昇傾向です。
8月の国内株価暴落と円高で落ち込んだ相場は10月頃には落ち着きを取り戻し、当社主催のRKオークションでも時計大会は7月以来の高い落札率を記録しており、市場の買い気が戻りつつあることが伺えました。インバウンド需要もこの円安を背景に好調が続いています。年末商戦を控えてか、海外市場においても直近の香港ジュエリーショーに向けて、各社の期待感も高まっているようです。新作、現行アイテムはもちろんのこと、ヴィンテージ系も引き続き人気です。昨今は各ブランドが往年のデザインをリバイバルして発表することが定番化し、それにつられてヴィンテージ系相場も引き上げられています。
気になるのは、米国が自国保護政策を優先するとの懸念から、欧州株価が下落していることでしょうか。中国市場の消費もかつての勢いを失っている中、欧州系ハイブランドの売れ行きがさらに減速する場合、短期的には二次流通市場にプラスですが、長期的には市場の在庫流通量に影響してくるかもしれません。
もうひとつ、11月の注目トピックはロレックスが表参道にオープンしたブティック。図らずも前回小欄でも触れていたロレックスの認定中古プログラムが国内で初めて導入され、話題を呼んでいます。海外で先行しているこのプログラム、欧州のブティックでは二次流通相場よりも高めの販売価格となっているようで、古物市場への影響はあまり感じられていません。国内の認定中古品がどのような価格設定となるか、本稿執筆時点では分かりませんが、海外を踏襲するのであればさほど脅威とはなりえないのでしょうか。
どちらかといえば販売よりも、同ブティックでスタートする買取の方が私は気になっています。査定依頼から完了まで約1週間を要するとのことで、こちらも現時点では市場に影響を与えるほどとは思えませんが、本格稼働してからしばらくの間、注目していきたいと思います。