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COLUMN

リサイクル通信2023年3月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第103回 アフターコロナで戻るもの、戻らないもの

2023.3.25

3月13日から、新型コロナ対策のマスク着用ルールが見直されましたね。着用是非は個人の判断をより尊重されるようになりました。約3年にわたって続いたコロナ禍ですから、街を見渡すとまだマスクしている人が多い印象ですが(花粉症シーズンということもありそう)、アフターコロナに向けて動いているのだなと感じます。

時を同じくして、ブランド古物相場も2月から3月にかけて明るい展望が開けてきました。停滞が続いていた時計相場が上向いてきています。先月17日に実施した当社主催のRKオークション時計大会でも、1月までとは打って変わってロレックスを中心に相場が復調傾向となりました。

ブランド相場回復へ、古物市場はオンライン定着

主たる要因は、香港を中心とした海外マーケットが以前のような活況を取り戻しつつあることです。今年に入って香港のコロナ対策の防疫検査、中国のゼロコロナ政策が次々と撤廃されたことにより、バイヤーの買い付けが活発化。3月頭に開催された香港のジュエリーショーでは、ブースにアトラクションのような行列待ちができるほどの賑わいを見せたそうです。中国人バイヤーはもちろん、ヨーロッパ系のバイヤーも数多く来場していたそうで、コロナ前の景色が戻りつつあります。ショーでの売れ行きも好調らしく、付き合いのある業者と話していると「香港で在庫を売り切ってしまった」という声もチラホラ。海外需要の増加が、相場上昇の起爆剤となりそうです。
国内のインバウンド需要が回復傾向にあることも相場を後押ししています。古物業界はもちろん、ニュースで報じられる全国百貨店の売上速報を見ていても高級品の売上が好調な模様。徐々にですが、ブランド古物業界はコロナ前の勢いを取り戻しつつあります。

各地のショーや人出がコロナ前の様相を取り戻しつつある一方で、恐らく以前のようなスタイルには戻らないであろうものがあります。コロナ禍をきっかけにオンライン化が進んだ古物市場です。手競りが主流だったコロナ以前とは、この2年間で売り手も買い手も会主も、大きく状況が変わりました。
以前にも増して古物市場が増えている中、複数の市場で効率よく買い回るには、時間や場所に拘束されないオンラインに圧倒的なメリットがあります。また、長時間の手競りではよく起きていた「場がダレる」ことによる相場の不安定さがなく、安定した落札が見込めることが売り手はもちろん、会主にとっても望ましいものです。手競りと違って大きな会場や多数の人員が必要なく、安定して古物市場を開催できることも、会主にとっては大きい。そもそも、この3年余りでオンラインが主流化したことで、オークショニア(振り手)不在という問題もありますね。

事前入札制やリアルタイムビッド方式、下見会場を設けているところやオンライン下見のみとしているところなど様々なスタイルはあるものの、古物市場のオンライン化は不可逆的なものだと思います。古物業界ひとつ取ってみても、アフターコロナで元に戻るものもあれば、新たな形に変わったものもあるとあらためて感じています。

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