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COLUMN

リサイクル通信2023年1月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第101回 2023年は、上り相場への期待感大

2023.1.25

2023年、新たな一年が始まり早くもひと月が経とうとしています。昨年は、コロナはもとより世界中がインフレに翻弄された一年でした。諸々影響は続いているものの、少なくとも今年は古物市場の相場は、より良い方向に向かうのではないかと思っています。

まず、昨年秋から末にかけての古物相場の市況感はどうだったでしょうか。昨年10月から海外から日本国内への個人旅行が解禁され、インバウンド復活に期待がかかっていました。一時150円台をつけた円安を背景に、相場が上向きながらの需要増加を見込んでいたためです。

結果として、国内小売りの売れ行きは好調だったものの、主に時計においては相場回復には至りませんでした。11月から円高傾向に転じたことで、ロレックスを中心に相場には逆風になってしまったためです。12月に入ってもその傾向は変わらず、相場は低調気味に。ただ前述のとおり、国内小売りはインバウンドの恩恵もあり仕入れに力を入れるところは多かった模様。古物市場でも、出品者側も市況を理解しているので、指値に届かなくとも売られる傾向が見られました。

経済効果に期待大のトピックも目白押し

こうした状況を踏まえても、2023年の古物相場は「上がる」と見込んでいます。コロナによる行動制限が緩和され、外部情勢が変化していることが大きな理由です。いまだ日本国内では第八波の継続、感染者数のピークを更新しているものの、経済活動への締め付けはなさそう。年始早々に中国政府がゼロコロナ政策を事実上撤廃したことも追い風となりそうです。コロナ再拡大による中国からの水際対策強化や、それに対抗しての日本人へのビザ発給停止など外交的な思惑が入り混じっていますが、昨年より人流は増加するでしょう。

本稿の執筆段階(1月上旬)では、今年最初の古物市場概況はまだ聞こえてきていません。例年の傾向として、年始はどの市場も出品数が例月より減ることで入札が集中し、値が上がりやすいです。また、1月11日~14日にかけて開催された国際宝飾展(IJT)も海外企業が3年ぶりに参加するとあって、相場の試金石的としても注目を集めています。IJTの売上次第ではありますが、2023年の相場はまずまずの滑り出しになると思います。

インバウンド関連でいえば、今年は経済効果が見込まれるトピックにも注目しています。3月には2023 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が東京ドームで開催。4月には、新宿・歌舞伎町の一等地に宿泊施設やレジャーを兼ね備えた複合施設「東急歌舞伎町タワー」がオープンします。注目度の高いこれらのイベント、トレンドスポットの登場が春先に重なっており、経済への波及に期待がかかります。

また、3月には香港国際ジュエリーショーの開催が決まっています。こちらも各国がコロナによる制限を緩和してからの開催だけに、今年の相場を占う大きなイベントとなるでしょう。

そして、3月末から4月初めにかけては「ウォッチズ&ワンダーズ 2023」が開催予定。やはり気にあるのはロレックス。年始早々に定価改定(値上げ)して、相場に早くも影響及ぼしつつある中、今年はアニバーサリーを迎えるスポーツモデルが複数あるだけに、一段と注目度が増しています。60周年を迎えるデイトナのモデルチェンジはあるのか、70周年のサブマリーナーは?昨今の過熱相場は、国内では一時より落ち着いたもののいまだ品薄によるプレミアム相場は継続中です。市場の話題をさらう新モデルの登場や、それに伴うディスコンが再び相場に火を点ける可能性は十分にあります。

恐らく古物相場は上り調子になることが見込まれる2023年。とにもかくにも本格的にコロナから脱却した経済の復調と、それを根拠とする安定した相場が形成されるのか。期待を持ちながらも、注意深く動向を見ていきましょう。

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