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COLUMN

リサイクル通信2022年11月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第99回 注目の秋相場、直近の市況は

2022.11.25

10月後半から11月にかけて、年末商戦に向けた仕入れが加速してきました。先月より海外からの個人旅行が解禁され、インバウンド復調への期待もかかる中、特に小売り筋の商品を中心に動きが出てきている印象です。
相場に関しては9月下旬頃から回復の兆しが見られ、それまで下げトレンドだった時計が上昇に転じていました。期待感による買いが先行していた中、直近の相場感や市況はどうだったのでしょうか。

コロナ対策緩和で上昇トレンド続く

結論からいえば、11月に入ってからも時計やブランドジュエリー、バッグの相場は上昇トレンドを維持しています。実際、10月以降から都心の主要エリアを中心に外国人客は目に見えて増え、当社が運営する小売店であるロデオドライブも新宿、銀座エリアで来店客数の増加を実感しています。なお、LVMHによれば7~9月期売上高は前期から大幅に増え、日本の増収率はアメリカやヨーロッパと並び2ケタを記録しているとのこと。メーカー売上も好調なようですから、古物市場にとっても追い風となりそうです。

ブランド古物相場が好調な背景は、日本における海外旅客の水際対策制限に加えて、前回も触れたように香港の防疫措置(入港後、3日間のホテル強制隔離)が9月から廃止されたことが大きいですね。10月以降、日本から香港へ行く業者は増加。現地の時計ショーでは、日本からの出展社数が倍増したと聞いています。日本以外にもヨーロッパや北米、東南アジアからの業者も参加が増えており、活況になりつつあるそうです。

ブランド古物の中でも、特に時計の相場はしばらく上昇が続くでしょう。年末はもちろん、年始から中国の旧正月にかけて消費喚起のイベントが目白押しです。パテックフィリップのノーチラス、オーデマピゲのロイヤルオーク、ヴァシュロンコンスタンタンのオーヴァーシーズ、ロレックスのサブマリーナーやGMTマスター。このあたりのモデルは売れ筋として抑えておくのが手堅そうです。また、ロレックスでは少し前までは落札されづらかったデイトジャスト Ref.16233や、レディースモデルにも動きが出てきました。インバウンドや海外とのトラフィック増加に伴って、ドル円為替に連動した相場感となったことで取引量が増えてきました。

ただ、相場高騰の代名詞であったデイトナ Ref.116500LNは伸び悩んでいます。一時は500万円ほどの値をつけていましたが、10月の当社オークションでは380万円前後とトーンダウン。金無垢系は多少持ち直しているものの、市場で在庫がダブつき気味のステンレスモデルは、かつての勢いは見られません。

とはいえ、全体感としてはこの2ヶ月で市況の好転は顕著に表れつつあります。大型商戦を目前に、追い風が吹いているといえます。

少し気になるのは、為替が反発して円高に振れてきていること。長らく続いていた140円台後半から、本稿執筆現在(11月中旬)では140円を割っています。海外とのトラフィックが正常化してきた今、相場を下支えしているのは大きな要素は為替です。ドルベースで取引される海外市場では、日本国内とは異なり、ロレックスはむしろ相場が下がっています。今後、さらに円高が進むようなら、相場への下げ圧力が強まってくるでしょう。

一方で、突如11月に発表されたロレックスの新作ディープシーといったホットなトピックもあります。ロレックスではめずらしいチタン素材を用いた実験的なモデルということもあって、注目を集めています。国内定価は300万円超えで、古物市場での相場がどれくらいになるのかは未知数。早ければ年内には出回ると見られていますから、オークションに出品されれば大いに盛り上がりそうです。

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