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COLUMN

リサイクル通信2022年8月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第96回 熱冷めた22年度前半 相場回復はいつ?

2022.8.25

連日20万人を超える新型コロナウイルスの新規感染者が確認され、またたく間に世界最多の感染者数を記録した日本。コロナに対する見方も以前までとは変わりつつあるとはいえ、それでもインパクトのある数値です。
他方、国内外の人の行き来は活性化し、今年は3年ぶりに行動制限のない夏を迎えることができました。感染状況は引き続き懸念されるものの、古物商としてはこれを機に市況が上向くことを願いたいところ。
そこで、今回は直近の「時計」と「宝石」の相場やトピックを振り返っていきます。

今年はコロナに加え、2月より続くウクライナ危機が重なったことでブランド古物相場が非常に不安定になっていることは、たびたび小欄でもお伝えしてきました。時計に関しては、年始まで高騰の一途を辿っていたロレックスのスポーツモデルを中心に下落トレンドとなっています。それまでの投機的な相場上昇が落ち着いた、と見る向きもあります。

外国市場が振り回す相場、注視すべきは?

私どもが運営するRKオークションでも、7月の大会ではロレックスのデイトナやオーデマピケのロイヤルオーク、ヴァシュロンのオーバーシーズら高額商材の相場下落が顕著でした。またオーソドックスなモデル、特に1,000万円を超えるような高額系商材は、古物市場でもなかなか落札されづらい状況。
新型コロナの影響によって春先に流通が鈍化した香港を始め、海外市場への輸出が万全とは言い難い中で、国内の小売市場だけでは販売先としては弱いのかもしれません。大手のバイヤーは、主戦場を香港ではなく北米市場へとシフトしつつある動きも見られます。

一方で、ロレックス落札率は6月から7月にかけて5%ほど回復しました(RKオークションにて)。6桁型番のスポーツモデルは未だ下落トレンドではあるものの、少しずつ揺り戻してきている印象。RKオークションでも、入札システムを導入した7月大会から15社も新規参加社が増え、買い気の高まりを感じます。香港の流通目詰まりが解消されていけば、時計の相場は10月以降に回復していくのではと見ています。

話は変わって、今度は宝石について。年初からダイヤモンドも色石も好況が続いていましたが、ここにきて若干陰りが見られます。特に強い買い付けを行っていたアメリカのバイヤーが、ここにきて仕入れを抑制しつつあるためです。アメリカ国内では景気後退の見通しもあり、今後も注意が必要かもしれません。

その一方でアジア、特に中国を中心に高級宝飾品の需要は高まっていて、中でも翡翠の一種であるジェイダイトに注目が集まっているそう。生産国であるミャンマーで起きたクーデターによって、供給に混乱が生じたことで稀少性が高まったことも影響しているようです。ただ、主に投資対象としての向きが強いようで、昨年まで高騰し続けていた時計に通ずるところがあります。宝石に関しては特に外国市場のトレンドを注視していくのがよさそうです。

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