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COLUMN

リサイクル通信2022年6月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第94回 インバウンド需要に、一層期待がかかるワケ

2022.6.25

6月1日より、日本国内への一日あたりの入国者数の上限が、それまでの1万人から2万人へと引き上げられました。この中には、2020年4月から新型コロナ感染拡大を受けて長らくストップしていた海外からの観光客も含まれているとのことで、およそ2年ぶりとなります。7月からはさらに上限が3万人にまで引き上げられる予定で、いよいよインバウンド需要の復活に期待がかかりますね。

というのも現在、ブランド時計の相場がダウントレンドだからです。時計相場の指針担うロレックスは、6桁リファレンスのスポーツモデルが全体的に下落気味で、各社とも定番どころの在庫がややダブついています。分かりやすい例でいえば、デイトナ Ref.116500LN(白)の新品販売価格は5月初旬に600万円以上でしたが、6月上旬には約550万円ほどと1割近く低下。また、人気のGMTマスター2 Ref.126710BLRO(オイスターブレス)は5月初旬に約340万円だったのが、6月上旬に約325万円と、デイトナほどではないにしろ値を下げています。

下落トレンドへのカンフル剤となるか

ロレックスを例に挙げましたが、他のブランドも弾数が多いモデルは軒並み下落傾向となっています。これは、新型コロナによる中国・上海での2ヶ月にわたり続いたロックダウンや、香港でのコロナ対策が影響していて、中国や香港を起点とする北米、タイ等のアジアマーケットへの供給網が滞ったことが要因です。こうした情勢を反映するかのように、先月久しぶりに開催された香港のジュエリーショーでは、各社とも売れ行きはかなり厳しかった模様。

海外への輸出が鈍っているためか、当社が主催するRKオークションに参加している海外卸売り業者も、買う商材をかなりシビアに絞っています。コンデイションが悪いものや、ロレックスの古いレディースモデル等は値がつきづらく、入札会では未入札となる商品もままあります。

ドル円相場は円が続落し、つい先日はおよそ四半世紀に135円台をつけていますが、前回小欄でお伝えしたとおり現在は「国内相場のガラパゴス化」状態。円安による相場への影響が以前よりも小さくなっているため、下落トレンドを跳ね返す材料が乏しいのです。

もちろん中国、香港の物流網が復旧したことで徐々に状況は上向いていくと思いますが、まだまだタイムラグが見込まれます。となると、冒頭に述べた入国者数上限の緩和による、インバウンド需要になおさら期待がかかるのも当然ですね。

ただ、外部環境に左右されるこの2年間で古物市場は非対面化やオンライン化を進め、新たなスタンダードが出来上がってきています。私どものRKオークションでは前述の未入札商品を減らせるよう、オンライン上で商品商材を見ながら直接入札できるシステムをリリース予定です。外部環境が例え厳しくとも、参加されている各古物市場でも様々な工夫を凝らした売り手、買い手支援策を講じているかと思いますので、気軽に聞いてみることをおすすめします。

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