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COLUMN

リサイクル通信2021年9月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第85回 市場と相場、動く古物界隈

2021.9.25

2021年も残すところ3ヶ月余りとなりました。昨年の今頃は「コロナがまだ収束していない中で…」と前置きした上で相場の展望等をお話していましたが、1年経っても同様の状況が続いているとは・・・。小欄でもたびたび触れていますが、コロナ禍は古物市場の在り方を大きく変えるきっかけとなりました。今回は、あらためて今年に入ってからの古物市場界隈の動きをざっと振り返ってみたいと思います。

昨年は新型コロナの影響から、ネットオークションの台頭や、手競りから入札方式への転換など、非対面取引を主とした転換が進みました。場所の用意や人繰りの負担が大きいとされる手競りに比べて、ネットオクや入札方式は比較的参入ハードルが低いことから、新興市場の参加も活発になりました。

大手FCのオク参入、ブランドは高騰

今年に入ってからもその流れは変わっていませんが、最近は大手リサイクルショップが古物市場を立ち上げる動きが見られます。ネットオクや入札方式を主とし、大規模FCならではの在庫力を活かして、自社荷(自社の商品)を数多く自社の市場に出品することが主流になってきました。

これまでの古物市場はあくまで他社から出品を募ることが基本でしたが、オークショニア自らがセラーとなることが当たり前化しつつあります。こうした動きから、買い歩銭制を敷いたり、歩銭の料率にも動きが出てきていることは前回の小欄でも触れました。

ブランド古物の相場は春以降、毎月上昇しています。腕時計、バッグ、ジュエリーなどすべてのカテゴリで高騰が続いています。特に、ロレックスを中心とした腕時計の高騰は著しいものがありますね。「ロレックスマラソン」に端を発し、ネットニュースやTVメディアでも話題が取り上げられたことで投機目的としての面により注目されている影響が大きいです。今やロレックスのブティックではデイトナやサブマリーナーといったSSスポーツモデルに留まらず、オイスターパーペチュアルまで品薄だそうで・・・。

ただ、小売業界の話を聞くと度重なる緊急事態宣言によって夏頃から集客に苦しんでいるという声を聞きます。ロレックスに関しては相場の高騰に歯止めがかからず、高くなりすぎたために一般のお客様では手が出しづらくなっている状況もあり、国内小売が好況とはいいがたいようです。

一方で、主に中国の業者からWeChat(ウィーチャット)を介したライブ販売の引き合いが盛んであったり、eBayやChrono24といった海外市場向けのEコマース出品が拡大しつつあります。こうした背景から、現在の相場高騰には純粋な国内小売需要がどれだけ影響しているかは定かではないでしょう。

これから年末年始にかけてはクリスマス、新春、旧正月といったイベントが目白押しで、相場的には追い風となるシーズンです。ただ、極端にプレミア化している今年のロレックス新作(Ref.124273等)については、秋頃からは徐々に国内流通量が増えていくでしょうから、多少は落ち着いてくると見ています。

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