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COLUMN

リサイクル通信2021年8月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第84回 買い歩銭制の市場が増えてきているワケ

2021.8.25

最近では当たり前化しつつある、入札制やネットオークションといった古物市場の非対面化。昨年の今頃はまだ運営側も参加者も手探り感がありましたが、コロナ禍の一年で急速に進んだ新しい市場様式は、これからのスタンダードとなりそうですね。

競りの方式が対面から非対面に変わったことで、少しずつ慣例も変わりつつあります。大きなところでいえば、「買い歩銭」が発生する市場が増えつつあることです。これまでは売り歩銭=出品者が売れた分の手数料を支払うのは多くの市場で共通でしたが、買い歩銭=買い手が買った分の手数料を支払うルールを採用している市場は多くありませんでした。

潮目が変わったのは、やはりコロナ禍以降です。「システム投資の回収」と「出品募集の強化」、このあたりが買い歩銭制を敷く古物市場が増えつつある理由と見ています。

非対面化の流れで投資回収や出品強化も

まず、かつては古物市場といえば関東の代表的市場として名前が挙がる東質共栄会や練馬五十会、滝野川会、豊島会のように、古物市場の運営を本業とする団体が執り行うのが主流でした。
それから当社のように本業とは別に、事業として古物市場運営に参入する企業が現れ始め、現在は多くのリサイクル・リユース企業が古物市場を運営しています。ここまでは、歩銭は売り歩銭のみとする市場が多数でした

また、市場が多様化していることで、主に自社在庫を出品している古物市場も増えつつあります。その場合、売り歩銭だけでは手数料収入が期待できませんから、買い歩銭制を敷くのは必然の流れでしょうか。。

そして、市場によっては買い歩銭よりも、売り歩銭の方が料率を低くしているケースもあります。現在、古物市場間ではどこも出品を集めようと必死です。売り歩銭を優遇することで出品を募り、手数料収入減を買い歩銭でトントンにする向きも見られますね。

最後に、対面式の競りでは「競り師」の存在が競りの盛り上がりに一役も二役も買っていましたが、非対面式でその存在感は薄くなっています。競り師の手腕によって買い気を盛り上げ、買い歩銭が生じないことも手伝って競りの活況につながっていた面がありました。彼らの影響が小さくなったことも、買い歩銭を導入する市場が増えつつある一因かもしれませんね。

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