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COLUMN

リサイクル通信2020年12月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第76回 2020年、コロナに翻弄されて

2020.12.25

小欄で年末のご挨拶をするのも今年で6回目となります。本来なら、オリンピックの振り返りでも交えながら締めくくりたかったですが、いわずもがな、今年は未だ続くコロナに振り回されっぱなしでしたね。激動の一年となったブランド古物業界の2020年を振り返って今年を締めたいと思います。

今年の初頭までは2019年末から続くトレンドにより、代表的なロレックスを始めブランド古物相場は堅調に推移していました。コロナの問題が顕在化した2月までは持ちこたえていたものの、3月に状況は一変。3月下旬から4月にかけて相場が大暴落したことで、市場は半ばパニック状態に。現在は250万円以上で取引されているロレックス デイトナ Ref.116500LN(白)が、当時は200万円を切るケースがあったと言えば、深刻さが伝わるでしょうか。
しかし、相場の暴落は長くは続かず、4月下旬から5月にかけて持ち直してきました(この流れは、以前にもお話しましたね)。9月頃まで相場は上昇一辺倒で、ロレックスの新作発表も追い風となって、週を追うごとに相場は右上がりで高くなっていきました。

入札式がニューノーマルに カギはコロナ収束

10月に入ってから相場は高止まりし、本コラムを執筆している12月上旬現在まで緩やかに下降傾向にあります。入札方式やネットオクも、9月に比べると入札数が減ってきているようです。入札方式では落札額が高くなると前述しましたが、一方でこんなことも。最近は、ひとつの古物市場内で同じモデルがいくつも出品されている場合、各商材への入札数が減る傾向が出てきました。
リアルタイムで周囲の声を聞き、落札した分を計算しながら参加できる手競りと異なり、入札方式では集計当日にならないと落札できたかできなかったか分からないため、予算コントロールが難しいのです。ともすれば同じモデルをいくつも落札してしまう"落札過多"となるリスクを警戒して入札を絞っているようで、買い手の「慣れ」が伺えます。

当初は参加者の戸惑いも見られた入札方式ですが、時間や場所、人とのしがらみ等に制約を受けないメリットと相まって、いわば古物市場のニューノーマルとして定着しつつあります。今後も、しばらくこの流れは続くのでしょう。

これから来年の相場を占うにあたっては、兎にも角にもコロナのワクチン普及がカギを握りそう。いかに早くワクチンが普及し、海外渡航制限の解消につながるか。業界のトピック的には、バーゼルフェアから離脱したロレックスやカルティエが主体となって開催する、新しい時計の見本市にも注目が集まりますが、問題の根幹であるコロナの収束なくしては相場の上昇にはつながらないでしょう。

さて、最後になりますが今年一年も本コラムをお読みいただきありがとうございました。誰もがこれまで以上にがんばった今年一年、本当にお疲れ様でした。ちょっと早いですが、皆様にとって幸多き一年となりますようお祈りしています!

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