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COLUMN

リサイクル通信2020年3月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第67回 新型コロナウイルスに揺れる古物業界

2020.3.25

もはや世界中へと拡がりを見せる「新型コロナウイルス」。昨年末頃~年明け頃までは、世間的には中国内の出来事として見られていた節がありましたが、横浜クルーズ船のニュース以降、日本国内でも大きく報じられるようになりました。

それでも、経済面では2月中旬頃までさほど混乱はなく、ブランド古物相場も概ね堅調だったと思います。実際、私どもが2月15~17日にかけて主催したRKグローバルオークションでは、ヒトもモノの動きも、平月と遜色ありませんでした。
潮目が変わったのは2月下旬で、日本政府が「感染拡大を防ぐ正念場が今1~2週間」といった旨を発表してから。皆さんご存知のとおり、外出自粛や一斉休校を皮切りに、関連業種の停滞や、企業や工場の営業縮小、さらにはマスクやトイレットペーパーといった物資の一時的不足に波及しました。様々な催事や観光イベントの中止も相次ぎ、この業界でいえば、2月開催予定だった香港のインターナショナル・ジュエリー・ショーが、5月開催へと大幅延期されています。

商況を楽観視せず、自社の対策を

影響は株価や為替といった経済面にも現れ、本コラムを執筆している3月9日現在、ドル/円相場は一時101円台まで高騰しました。為替の高騰に加えて、香港マーケットが停滞していることから、国内のブランド古物相場は弱含みとなっています。2~3月は決算月を迎える企業が多く、買い控えの傾向も見られますから、あまり芳しくない状況です。また、相場の分かりやすい変化として、ロレックスのスポーツモデルではギャランティ日付の新旧による価格差が大きくなっています(例として、2019年と2020年では後者が5%ほど高い)。売れ筋の中でも、より人気があるものとそれ以外のもので、メリハリがついたシビアな相場感になりつつあると思います。
反面、北米やヨーロッパなどの海外マーケットの市況は好調ですが、今後もし日本からアメリカへの入国規制などが実施されたらどうなるか分かりません。

3月に入ってからは、各古物市場で対応に神経を尖らせています。下関市の「ものばんく」さんが3月大会を休止されたことは、業界内で大きな話題となりました。ほかの古物市場でも、スタッフ、参加者に感染防止行動を注意喚起されています。RKグローバルオークションでも入場前の手指消毒や検温の徹底、空気清浄機の増設に取り組んでいます。競り中は皆マスクを着用しているため、ちょっと異様な光景です。ただ、全国の主要な古物市場は参加されるバイヤーが被っていることが多いため、一人でも感染者が出ればクラスター化する恐れがありますから、運営側、参加者とも気を配らなければなりませんね。

感染拡大の一途をたどるのか、収束の兆しが見えてくるのか。少なくとも1ヶ月程度では収まらなさそうな雰囲気ですから、商況的には楽観視せず、多少の損は覚悟して在庫をより回転よく捌くか、今のうちに海外に卸してしまうか、あるいは体力があるなら損切りせずに耐えるか。古物商に限った話ではありませんが、難しいかじ取りを迫られています。

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