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オークションのいろは

COLUMN

リサイクル通信2019年11月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第63回 ネットオークションが増える、2つの理由

2019.11.25

近年、日本全国でブランド古物市場が増えていることは何度かこのコラムで触れてきましたが、同じく急速に存在感が高まりつつあるのが「ネットオークション」。私どもが主催するRKグローバルオークションでも、この11月末から新たにネットオークションを開催することとなりました。時計・バッグ・ブランドジュエリーを取扱い、事前入札制の"ロープライスオークション"と、"リアルライブオークション"の2種類の競りを行います。

なお、現在はブランド古物市場がリアルな大会と並行してネットオークションを行うケースが増えています。なぜいま、ネットオークションが拡大しつつあるのでしょうか。

日程や場所によらずに市場の規模拡大

理由は大きく分けて2つあると思います。ひとつめが、ネットオークションへの抵抗感がなくなってきたことです。CtoCサービスとしてはすでにヤフオク等が世に出ていたものの、リアルな古物市場の参加者には、BtoBのネットオークションに抵抗感を感じる方も少なくなかったように思います。当時は「リアルな大会でないと熱量に欠け、相場の盛り上がりがいまひとつ」「システム利用料や買い歩銭などの各種費用がネック」といった声がありました。

しかし、最近はシステムの進化によって出品物の詳細な画像が確認でき、よりスムーズな入札が可能となりました。相場は、リアルな古物市場と遜色ないレベルです。また、近年はリアルな古物市場においても買い歩銭制を敷いていることが多く、ネットオークションの手数料が高い印象も薄まりつつあります。ネットオークションへの参加ハードルは、大分低くなったといえます。

ふたつ目の理由は、ブランド古物市場が飽和状態にあるからです。各古物市場では、売り手・買い手を増やして市場の取引高拡大を目指しています。一日で競りにかけられる品数は限られているため、より規模を大きくするためには開催日を増やすことが考えられます。しかし、現在は全国のどこかでほぼ毎日古物市場が開催されているといってもいいぐらい、飽和状態にあります。新たに開催日を増やしても、他の古物市場の日程とブッキングする確率が高く、参加者を囲い込むのは容易ではありません。

「ネットオークションの参加ハードル低下」「リアル古物市場の飽和」、これらの理由から、各古物市場は日程や場所にとらわれないネットオークションに参入することで規模の拡大を図っているのだと思います。また、主催側の立場からすれば、長時間の競りによる運営スタッフへの業務負荷緩和も見込めるため、働き方改革の観点からもプラスといえます。

もちろん、ユーザーにとってもメリットがあります。時間的、地理的な制約に縛られずに取引できることは当然として、リアルな古物市場ではベテランバイヤー勢に気後れしてしまいがちな方でも、ネットなら周囲に気兼ねせずに買い付けできます。フラットな条件で参加できるネットオークションは、市場初心者にとってもおすすめです。

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