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COLUMN

リサイクル通信2019年7月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第59回 下落に転じたロレックス相場 ふたつの理由

2019.7.25

前回「ロレックスが高騰する理由」について取り上げた際、「直近の古物相場では一服感があった」と伝えたばかりですが・・・直後、高止まりした相場は、下落に一転しました。6月下旬から下落した相場は、このコラムを執筆している7月上旬現在も上向いておらず、スポーツモデル全般の相場はピーク時と比べて5~8%ほど値を下げたままです。顕著だったのは、今年ディスコンとなって相場が上昇していたGMTマスター Ref.116710LNと、Ref.116710BLNRで、どちらも6月初めの相場から10万円以上の下げ幅となりました。

ここ1年くらい基本的に相場は上り調子で、若干の下落や踊り場局面はあったものの、これほど急落することはありませんでした。なぜ、このタイミングで下落トレンドとなったのでしょうか。

要因は円高と国内相場の過剰な高騰

考えられる理由は様々あるでしょうが、大きな要因として2つ挙げられると思っています。

ひとつは「円高」です。輸入品である海外ブランド品は、円高局面は国内流通価格が安くなり、円安局面では高くなりますね。相場がピークを迎えていた5月に109~110円程度で推移していたドル/円は、現在は107~108円台と、1~2円ほど円高となっています。ブランド古物、特に時計は為替の影響をダイレクトに受けやすいため、これが下落トレンドに移ったひとつの理由でしょう。

しかし、これくらいの円高でここまで相場が下がることはありません。円高だけが理由なら、ロレックス以外のブランドも軒並み相場が下がるはずですが、そこまで大きな影響は見られません。むしろ、オーデマ・ピゲやパテックフィリップあたりは相場が上昇している節も見られます。

ロレックスだけが大きく下落した、ふたつめの理由として「国内相場が高騰しすぎた」のだと思います。前回、"日本のロレックス相場は世界でも特に高騰している"ことに触れました。いま国内では、海外から来訪したバイヤーが日本国内でロレックスを買っていき、品薄に拍車がかかって相場がさらに高くなる…という図式があります。結果、海外と国内相場にかい離が生じ、海外へ売りづらくなったことで、国内在庫がダブついてしまったようです。

円高と、相場高騰による在庫のダブつき。これら2つの要因が組み合わさったことで、ロレックス相場が大きく下落してしまったのだと思います。いずれも海外市場の動向に大きく起因するもので、現在の古物相場が日本国内の市場のみで成り立っていないことがよく分かりますね。

国内市場と海外市場、どちらのトレンドもキャッチアップしていち早く商売に反映していくことが重要だとあらためて感じています。

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