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COLUMN

リサイクル通信2018年10月25日発行号 掲載コラム『ブランド市場バイヤー 齋藤 清の俺に学べ!!』

第50回 海外市場が牽引する、腕時計相場のいま

2018.10.25

記念すべき(?)50回目のコラムとなりました。これまでお付き合いくださっている読者の皆様、ありがとうございます。これからお読みくださる新しい読者の皆様も、どうぞよろしくお願いします。

さて、毎週来る台風の波が過ぎ去って、10月はスッキリと涼しい秋晴れの日も多くなりましたね。古物相場も、サマーシーズンを抜けて秋口に入って相場が動き始めています。腕時計に関しては9月以降、相場が上向きつつあります。8月までは海外のホリデーシーズンの影響から、ヨーロッパやアメリカ市場の動きが鈍かったことが一因です。オーソドックスなモデルが売れにくく、各社とも在庫がダブつき気味でしたが、ホリデーシーズンを抜けたことで市場に活気が戻りつつあります。

海外市場の動向で相場が形成されている

現在、古物相場は海外市場の動きに左右されやすいですが、腕時計は特にその傾向が大きいといえます。具体的な例でいえば、ロレックスのRef.16233はもろにその影響を受けているモデル。海外市場のニーズを受けて、古物市場での落札価格は40万円を超えることもザラで、数年前に比べると5~10万円近く上がっています。40万円で仕入れたRef.16233を50万円+αで国内小売店に出したとしても、高くてなかなか買い手がつきづらいでしょう。各社とも、Ref.16233は主に海外市場向けの卸売り商材として取引しているようです。

これはほんの一例ですが、このように海外市場の動向で相場が形成されているのが現在のトレンドです。また10月上旬現在、為替が円安トレンドに振れていることで、さらに相場上昇に追い風となっています。特にロレックスのスポーツモデルは、現行も旧型も軒並み値上がりしています。なお、余談ですが保証書の有無による値幅変動も大きくなっています。ロレックスのスポーツモデル全般で、保証書ありとなしでは10万円ほど値段が違います。ちなみ、Ref.16520=旧型デイトナに至っては100万円近く値段が変わる場合も・・・。保証書の重要性がより高まってきていますから、取引の際は今まで以上に注意したいところですね。

なお、上記のロレックスや高額系の機械式腕時計以外でも、相場が上がっている注目株があります。"セミヴィンテージ"に属するような、一昔前のカルティエのタンクアメリカンや、シャネルのプルミエールなどは数年前から人気ですが、特に近年は相場が上昇。このあたりは国内外問わず人気が高まっているモデル。こうした、10万円前後かつECで捌きやすいモデルが注目を集めているようです。

国産ブランドのハイテクウォッチ系も人気

また、機械式やヴィンテージとは趣きは異なりますが、セイコーやシチズンといった国産ブランドのハイテクウォッチ系も人気。クロノグラフやGPS、ソーラー機能を備えたこれらのモデルは、国内定価の半値以上の高相場で落札されています。主にアジア市場で人気が高いようで、海外への卸売りを念頭に置いた競りをよく見かけます。機械式時計の相場が高騰する中、国産ブランドの多機能ウォッチは割安感も相まって人気を集めているのかもしれません。

秋口に入って上昇基調にある腕時計相場は、年末にかけてさらに上がっていくと思われます。ちなみに、11月に関しては個人的に私どもが主催するRKグローバルオークションの相場にも注目しています。来月は、創立8周年の記念大会。例年、記念大会には相場がかなり伸びるため、現在の相場上昇トレンドと相まってどうなるか楽しみにしています。

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